AIを活用したデジタルマーケティングとは?
導入事例やメリット・デメリットを紹介

 2024.03.15  デジタルビジネスシェルパ

デジタル化が加速する現代市場で競争優位性を確立するためには、デジタルマーケティングの推進が欠かせません。そのデジタルマーケティングの重要課題として挙げられるのが、AIを用いたデータ分析の効率化と予測精度の向上です。本記事では、AIを活用したデジタルマーケティングの事例やメリット・デメリットなどを紹介します。

AIを活用したデジタルマーケティングとは? 導入事例やメリット・デメリットを紹介

デジタルマーケティングソリューション

AIができること

昨今では、コンテンツ制作に生成AIなどを活用し、文章作成や画像生成などを行うことも増えてきています。そもそもAI(Artificial Intelligence)とは、計算機科学の一分野であり、論理的思考や問題解決、意思決定、推論、言語の理解と生成など、人間が有する知的活動をコンピュータ上で再現する技術を指します。そして、AIにおける中核的な技術として挙げられるのが機械学習です。機械学習は、教師あり学習、教師なし学習、強化学習の3つに分類され、近年のデジタルマーケティングに欠かせない技術として注目を集めています。

教師あり学習は正解となるデータセットに基づいて分析や予測を実行し、教師なし学習は正解のないデータセットから法則や規則性を見つけ出す学習手法です。強化学習はAIが試行錯誤を繰り返すことで最適解を学習します。こうした機械学習アルゴリズムはデジタルマーケティングの分野において、市場動向の分析や需要予測、消費者インサイトの発掘、Web広告の運用、インフルエンサーマーケティングなどの領域で活用されています。

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デジタルマーケティングにAIを活用した事例

デジタルマーケティングの分野において、AI技術や機械学習アルゴリズムは以下のような領域で活用されています。

広告運用

デジタルマーケティングの広告運用における重要課題は、ターゲティングです。検索エンジンの検索履歴やWebサイトの閲覧履歴、ECの購入履歴といったデータセットを学習することで、個別のユーザーにパーソナライズされた広告をピンポイントで配信できます。

また、Web広告の運用におけるキーワード選定や入札単価の設定などを自動化することも可能です。このような領域にAI技術を活用できれば、Web広告の運用効率を高めつつ広告費の最適化も期待できるため、広告費用回収率(ROAS)の最大化につながります。

需要予測

需要予測は、デジタルマーケティングにおいてAIが得意とする分野です。需要予測の精度を担保するためには、過去の売上データや顧客の購買履歴、参入市場におけるニーズの変遷、競合他社の動向といった情報を多角的に分析して将来を予測しなくてはなりません。

AIの機械学習はこうしたデータセットを教師として学習し、人間とは比較にならない高精度な予測モデルを構築できます。また、ECサイトにおいて「商品Aを購入したユーザーは商品Bを購入しやすい」といったデータを学習し、特定のユーザーに最適な商品をレコメンドすることも可能です。

SNS分析

SNSにはユーザーの忌憚のない意見や本音の口コミ、トレンドの移り変わりや競合他社の動向など、マーケティング領域に役立つ膨大な情報が蓄積されています。ただし、SNSの投稿は正解と不正解のラベルが付与されておらず、人間が膨大な投稿を分析して精度の高い洞察を得るのは容易ではありません。

AIの教師なし学習では、SNSの特定分野に関する口コミから法則や規則性を見つけ出し、セグメンテーションをすることで、そのグループの潜在需要を特定できる可能性が高まります。SNS上の膨大なデータセットから一定のパターンを発見できるため、その知見を新商品の開発や品質改善などに役立てることも可能です。

ABテスト

ABテストは2つの異なるパターンを用意して優劣を測定する分析手法です。例えばランディングページの申し込みボタンを赤色と緑色の2パターンに分けて用意し、一定期間のクリック率やコンバージョン率を測定します。このようにして、ボタンの配色による成果の違いを定量的に検証できます。

ABテストにAIを活用できれば、テストの結果をリアルタイムで収集し、そのデータを教師として学習することで効果的なパターンを特定できます。また、ABテストによって蓄積された消費者の購買行動や心理傾向を分析することで、より効果的なABテストの内容を選定できる点もメリットの一つです。

カスタマーサポート

AIチャットボットは、カスタマーサポートの領域で活用されているAI技術の一つです。ユーザーが入力した文章に24時間365日を通して自動的に対応できるため、顧客対応の自動化を実現できると共に、機会損失の最小化と顧客満足の向上につながります。

また、機械学習によってVOC分析を効率化することが可能です。コンタクトセンターに寄せられた疑問や要望、顧客のクレームなどに教師なし学習の機械学習アルゴリズムを使用することで、特定のパターンを発見してサービスの改善や顧客満足度の向上に役立てられます。

AIをデジタルマーケティングで活用するメリット・デメリット

ここでは、デジタルマーケティングの分野にAIを活用するメリットとデメリットについて解説します。

メリット

デジタルマーケティングの分野にAIを用いるメリットは、事業領域を通して収集・蓄積されたデータを効率的に運用できる点です。市場調査や競合分析、アンケート調査、アクセス解析などのデータをAIが分析することで、その知見を新商品の開発やサービス品質の改善に活用できます。

とくにデジタルマーケティングの要といえるWeb広告の運用では、ターゲットの個々の興味やニーズに合わせた広告を配信できることが大きなメリットです。また、デジタルマーケティングの効率化と合理化によって人材不足の解消に寄与するという利点もあります。

デメリット

デジタルマーケティングにAIを用いるデメリットの一つは、思考プロセスのブラックボックス化です。人間に代わってAIが判断や意思決定を左右することで依存度が高まると共に、人的資源の思索力や創造性が低下するリスクが懸念されます。

また、AIは教師あり・教師なし共に学習対象となるデータセットが必要であり、分析や予測の精度がデータの総量と品質に左右されます。分析対象のデータ量が少なく、エラーや欠損値が含まれている場合は分析の正確性を担保できません。さらに、データプライバシーの侵害や情報漏洩などのリスクも懸念されます。

デジタルマーケティングでAIを活用する際の課題

デジタルマーケティングの分野にAIを活用する場合、データの総量と品質が課題となります。先述したように、学習対象となるデータの総量が少ないと最適解を導き出すのが困難であり、データの品質が低い場合は分析の正確性や予測の精密性を担保できません。

そのため、デジタルマーケティングでAIを活用するためには、様々なチャネルからデータを収集・蓄積する仕組みが必要です。また、ETLツールのように必要なデータを抽出して分析に適した形式に変換し、構造化されたデータをデータウェアハウスに送出するソリューションの活用も求められます。

まとめ

AIは分析や予測、認識、推論、判断といった人間の知的活動をコンピュータ上で再現する技術です。デジタルマーケティングの分野では、広告運用、需要予測、SNS分析、ABテスト、カスタマーサポートなどの領域で活用されています。デジタルマーケティングにAIを用いることで、ビッグデータの活用やパーソナライズされた顧客対応が可能となるものの、そのためにはデータの総量と品質を確保する仕組みが必要です。

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