GXとは?各業界の取り組みやGXリーグに参画するメリットを解説

 2022.08.29  2022.08.30

地球温暖化による環境破壊が進む現在では、地球環境を守るために世界中でGXに関心が集まっています。本記事では、主に温室効果ガスの排出量削減を目指すGXについて、GXを推進するGXリーグへ参画するメリットや目指す社会、参画企業に求められること、取り組みの実例まで解説します。

GXとは

GXとはグリーントランスフォーメーション(Green Transformation)の略称で、企業が環境保護活動と経済成長を両立させる経済社会の変革への取り組みのことです。世界的に深刻になってきている地球温暖化による環境破壊への対策をしながら、より経済を発展させられる社会への変革を目指して行われています。
地球温暖化を抑制するため、日本政府は2020年10月の臨時国会で「2050年までに温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させて合計を実質ゼロにする」ことを目標とするカーボンニュートラルへの取り組みを宣言しています。
こうした宣言を実現するために、GXでは温室効果ガスが排出される従来の化石燃料などの使用を減らし、再生可能エネルギーや脱炭素ガスに切り替えるなど新たな市場への移行が求められています。GXへの取り組みには、環境対策を新しい経済活動につなげることができ、国際的なビジネスで競争可能な企業として社会から認められるなどのメリットがあります。

GXが必要になった背景

GXが必要になった背景として、地球温暖化による急激な環境破壊が大きく影響しています。地球温暖化によって世界各国で大規模な森林火災や干ばつが発生したことから莫大な経済的損失が発生しており、世界的な課題となっています。地球の温度上昇が各地での異常気象の発生や海面水位の上昇など様々な問題をもたらしたことで、地球温暖化への対策を講じないと2100年には4度の温度上昇が起こり、地球上が人間の生活できなくなる環境に変化するとの予測も立てられています。
現在では、地球環境を守るため、EU諸国やアメリカをはじめ、世界中がカーボンニュートラルの実現に向けて動いています。GXはその動きを実現させるために必要不可欠な取り組みとして広がり、日本でもその流れを受けて2050年カーボンニュートラルの目標を掲げる企業が増加しました。

環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)への配慮を行っている企業を選び投資を行うESG投資も、GXの推進につながっています。近年増加傾向にあるESG投資は、環境問題への取り組みを行い、社会への貢献度が高い企業の企業価値に期待して行われる投資です。企業にとってGXを取り入れることは、投資家に向けたアピールにもなります。

またGXと同時にSXの重要性も高まっています。SXとは、サステナビリティトランスフォーメーション(Sustainability Transformation)の略です。SXは、経済産業省が「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」において、社会だけでなく企業のサステナビリティも強化するために提唱した取り組みです。社会と企業のサステナビリティを同期化し、長期の時間軸の中で社会的な課題解決を企業の成長に関連付けていく変革を意味します。
(参照元:「サステナブルな企業価値創造のための長期経営・長期投資に資する対話研究会(SX研究会)」を新たに立ち上げます

SXが重視される背景には、近年の気候変動による災害の増加や、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などがあります。企業経営を取り巻く環境が次々変化する不確実性の高い状況下でも持続可能な社会の実現が求められているため、企業経営におけるSXへの取り組みも欠かせません。

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GXリーグとは

GXリーグとは、カーボンニュートラルの実現に向けて2022年2月に経済産業省が発表したGXに向けた議論や取り組みを行う場のことです。GXリーグは企業が自社のみならず経済社会全体を牽引し、世界に貢献するための「リーダーシップ」をコンセプトに活動しています。GXリーグでは、環境と経済が循環するサステナブルな社会を構築するため、社会や企業の意識、行動の変革に向けて先導できるリーダーシップを持つ集合体の実現を目指しています。

GXリーグの基本構想

GXに積極的に取り組んでいる企業群(産)と官、学、金融機関群(金)が一体となり、GXに向けた議論や取り組みを行う場として経済産業省が設けたのがGXリーグです。GXリーグの基本構想には、GXリーグの目的や実現したい世界観、GXリーグ企業に求める要件、取り組みなどが示されています。
GXリーグ参画企業に対して求める要件には、「自らの排出削減(1.5度努力目標実現に向けた目標設定と挑戦、取り組みの公表)」など、全部で3つの要件があります。2022年度に進められるのはGXリーグ基本構想への賛同企業の募集と実装に向けた詳細設計への議論、取り組みへの実証です。2023年度以降にGXリーグが本格スタートし、参画要件確定後に改めて参画企業の意思確認を行い、取り組みを開始します。

GXを進めるには、環境保護と経済活動両方の変化を実現するために未来的な社会の構築が必要です。そのためにGXリーグでは、積極的に炭素削減目標を掲げている企業群が排出量削減に対する投資を行いながら、2050年カーボンニュートラルに向けてサステナブルな未来社会を議論、創造する場が提供されます。
また、カーボンニュートラルの目標を達成するための自主的な排出量取引を行う場、新しい市場の創造やルールを作るための場としての取り組みも行われます。

GXリーグ基本構想に賛同を表明する企業は、2022年4月時点でエネルギー企業やCO2多排出産業、製造業、サービス業などの幅広い業種において440社に及びました。

循環構造とは

GXリーグの目指す循環構造とは、企業の意識や行動を変え、そこから生まれた価値が提供される新たな市場を創造すること、それによる生活者の意識や行動の変化、またさらに企業の意識や行動が変化するといった循環型の社会です。

  1. 企業自らの排出削減
  2. 企業が関連するバリューチェーンへの排出削減に向けた行動
  3. 生活者が能動的に選択できるGX市場の拡大

これらが循環されることで、企業が成長を続けながら地球環境の保護、生活者の幸せが実現します。

GXリーグでは、循環構造の実現のために、賛同する企業と共に様々な取り組みを行う予定です。具体的には、以下を想定しています。

  1. 生活者にとってのカーボンニュートラル時代の未来像の在り方の議論
  2. 未来像を踏まえた、新たなGX市場形成の在り方(ルールメイキングなど)の議論
  3. 社会で効率的に排出削減を行うための自主的な排出量取引の試行の取り組みへの実施

GXリーグに参画するメリット

GXリーグに参画すると、地球環境保護への貢献、自社のコスト削減、企業のブランディングにつながるなど様々なメリットがあります。

GXへの取り組みには温室効果ガスの排出量を減らすためのエコ活動や、再生可能エネルギーの生産、温室効果ガスを吸収する事業への参入などがあるため、地球環境保護に貢献しながら自社のコスト削減まで行うことが可能です。
GXリーグでは、「カーボンクレジット市場」を通して自主的な排出量取引が行われる見込みです。自社での排出量削減が難しい場合に市場での削減量を補える点もメリットの1つでしょう。

GXリーグ参画企業としての活動は企業のブランディングを実現し、企業の認知度アップやイメージの向上につながります。大企業では既にGXへの取り組みを行っている企業も多く、他社に対するGX取り組みへの働きかけも行われています。GXへ取り組んでいる企業は、取引企業からの信頼度が上がり市場での競争力が高まるケースもあるでしょう。
環境問題への取り組みが社会的に評価されるため、企業価値の上昇によって投資家からの資金を集めやすくなるメリットもあります。社会的評価や認知度が高まることで、入社を希望する人材が増加し、優秀な人材の採用につなげることも可能です。
また、今後は一定の項目を実践した企業に対する政府からの優遇措置も検討されています。

GXリーグ参画企業に求められること

GXリーグ参画企業に求められることは、「自らの排出削減の取り組み」「サプライチェーンでのカーボンニュートラルに向けた取り組み」「製品・サービスを通じた市場での取り組み」の3点です。それぞれの詳しい内容について解説していきます。

自らの排出削減の取り組み

自らの排出削減の取り組みとは、自ら1.5度努力目標の実現に向けて目標を設定、挑戦を行い、その取り組みについて公表することです。この取り組みでは、2050年のカーボンニュートラルに賛同し、その達成を実現し得る中間目標として2030年までの排出量削減目標を設定、中間目標達成に向けた移行のための戦略を構築しなければなりません。企業は目標の達成に向け努力を継続し、その進捗状況を毎年公表することも定められています。
任意要件として、日本がNDC(パリ協定に参加する国々が国連に提出する国別の削減目標)で表明した「2030年までに2013年比46%削減」の貢献目標より高い目標を掲げるという要件もあります。万が一削減目標が達成できなかった場合に備えて企業が目標設定を低く掲げるケースを防ぐため、カーボンクレジットや企業間での自主的な削減量取引を行い、排出量を調整することも可能です。

サプライチェーンでのカーボンニュートラルに向けた取り組み

サプライチェーンでのカーボンニュートラルに向けた取り組みとは、自社だけでなく製品の材料調達から製造、販売、消費者の手に届くまでの一連の流れに関係する企業や消費者(生活者)に対する取り組みのことです。
参画企業はサプライチェーン上流の様々な事業者に対して2050カーボンニュートラルに向けた取り組み支援を行わなければなりません。また、サプライチェーン下流の需要家や生活者に対しては、自社製品やサービスの製造において発生したCO2排出量を製品上に表示するカーボンフットプリント(CFP)を実施して、脱炭素への取り組みに関する情報を提供、環境保護活動に対する意識醸成を行う必要もあります。
サプライチェーンにおいても、国の2050カーボンニュートラル実現に向けて整合性のある中間目標を2030年に設けること、その目標を達成するための移行戦略を構築することが任意要件として定められています。

製品・サービスを通じた市場での取り組み

製品・サービスを通じた市場での取り組みとは、グリーン製品の積極的かつ優先的な購入によって、市場のグリーン化を促進させる取り組みのことです。生活者、教育機関、NGOなど幅広いステークホルダーと気候変動への取り組みについて対話を行い、新たな気づきを得た際に自らの経営に取り入れることが要件として定められています。自ら革新的なイノベーション創出に取り組むこと、また、イノベーションに取り組んでいるプレイヤーと協働し新たな製品・サービスによる削減も行わなければなりません。
さらに、製品購入者が日常生活上の排出量調節に活用することを目的として、企業が購入した排出量のクレジットを付けたカーボンオフセット製品を市場に投入し、グリーン市場の拡大へ貢献することも必要です。自らのグリーン製品の調達、購入によって需要を作り出し、消費市場のグリーン化を図るといった任意要件も定められています。

各業界が行っているGXの取り組み

各業界が行っているGXの取り組みには、様々なものがあります。多くの企業に注目されている自動車業界、建設業界、IT業界におけるGXの取り組みについて解説します。

自動車業界の取り組み

自動車業界では、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを目的として、新製品や新サービスの開発、製品の環境性向上に力を入れている企業が多く存在します。これまでは化石燃料で動く自動車の製造が主流でしたが、カーボンニュートラルの実現にはCO2を排出する自動車の変革が必要と考えられていました。多くの自動車メーカーは、新車から出るCO2がゼロになることを目指して、今後販売する新車を電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)などのクリーンエネルギーを使用した自動車に切り替えていく方針を発表しています。

生産過程においては、工場のCO2排出量の削減に貢献できる自動車部品や機械などの製品開発への取り組み、工場の設備、作業工程の改善も進められています。さらに、風力発電や太陽光発電など、再生可能エネルギーへの投資を行う形でCO2排出量の削減に向けた活動に取り組んでいる企業もあり、これまで排出してきた二酸化炭素を相殺することを目的とした脱炭素化への取り組みが行われています。

建設業界の取り組み

建設業界のある企業では、カーボンニュートラル実現に向けて関係官庁や自治体と積極的に協働して取り組みを行っています。革新的建設機械の導入や低炭素型燃料の使用によるCO2排出量削減、再生可能エネルギー電力の調達、使用の推進から、海洋上で浮体式構造物を利用して発電を行う洋上風力発電事業への取り組みまで始めました。
日本は、浮体式の技術が世界のトップレベルに位置しているため、浮体式の実用化が実現すると、世界的な競争力を持つ産業に成長すると予測されています。同社では将来的な浮体式の普及促進を目的として製造コスト削減、大量生産と大量設置を進めています。
中小建設会社などでの建造が可能な「ハイブリッドスパー構造」の採用や、現地施工を効率化して設置コストの大幅削減を可能にする「半潜水型スパッド船と多機能船」の建造など、浮体式洋上風力発電の大量設置実現に向けた挑戦が行われています。

IT業界の取り組み

世界的な大企業の1つは事業全体、サプライチェーン、販売した製品のライフサイクル全てでCO2排出量と除去量を同じにし、実質的なCO2排出量をゼロにすると宣言しています。同社は製造パートナーによるクリーンエネルギーへの取り組みに加え、世界中の再生可能プロジェクトへ投資を行い、2021年には1,390万トンのCO2が削減されました。

また、ある企業は2030年までにカーボンネガティブとなり、2050年までには創業当時から間接的に排出してきたCO2による環境への影響を排除することを目標に掲げました。CO2削減に関するテクノロジーの開発を支援するため10億ドル規模のファンドを設立するなど、脱炭素に大きく貢献しています。

別の企業は、2030年までに世界中の事業所やデータセンターなどの電力供給を完全に脱炭素化し、カーボンフリーエネルギーだけを使用して事業を運営し、地球環境保護の課題に貢献すると発表しています。風力発電と太陽光発電をペアにしたバッテリー貯蔵の使用量増加、AIを活用した電力需要の予測の最適化などが計画されています。

まとめ

GXは、企業が環境保護活動と経済的な成長を両立させる変革への取り組みのことです。地球温暖化を抑制して地球環境を守るため、主にカーボンニュートラルの実現を目標に掲げられました。日本でも、サステナブルな社会を実現するため、GXに積極的な取り組みを行っている企業群と官、学、金が協働するGXリーグを設立して多くの企業が脱炭素に貢献する活動を進めています。
政府は、カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略で、デジタルインフラの必要性も述べていますが、CTCでは脱炭素経営に欠かせないDXの推進を行っています。DXによるデジタル化は社内データを一元管理し、業務プロセスの改善、効率化の実現が可能です。業務効率化による生産性の向上、コスト削減も期待できるでしょう。

GXの実現にも必要とされるDXの実現に向け、様々な業種の企業に、DXの伴走者として選ばれているCTCのDX資料を参考にしてみてはいかがでしょうか。

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