DXリテラシーとは? ITリテラシーとの違いや高めるポイントを解説

 2022.08.15  2022.08.17

昨今、DXはあらゆる企業で取り組まれています。DXをスムーズに成功させるものとして、DXリテラシーが非常に重要です。
この記事ではDXリテラシーとは何か、高めることで得られる効果とは何かを理解し、経済産業省の「DXリテラシー標準」を基に全体像を見ていきます。またDXリテラシーを高めるポイントについても紹介します。

DXリテラシーとは

昨今はさまざまな場面で「リテラシー」の高さを求められるようになってきました。情報リテラシー・ネットリテラシーなど、耳にしたことがあっても、正確な意味はわからないという人は多いかも知れません。
リテラシー(literacy)とは、「物事を正しく理解し、仕組みを捉え、自分で活用できる能力」のことを指します。そして多くの企業がDXを推進する今日、重要視されるようになってきている新たなリテラシーが、「DXリテラシー」です。DXリテラシーは、DXを正しく理解し、推進していける能力のことです。

DXとは、「デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation)」を略した言葉で、「デジタルの活用でビジネスを根底から変革すること」を意味しています。
2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン教授らが提唱した概念であり、もともとは学問的な意味合いが強くありました。しかし、徐々にビジネスの世界においても注目を浴びるようになり、現在はあらゆる業界でDXを進める動きが活発化しています。

経済産業省が2018年9月に公表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」においても、レガシーシステムの放置による多額の経済損失を防ぐために、各企業がDXを進める必要性について強く説いているのです。

参照元(サマリー):DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~

実際に企業がDXを推進する際、従業員たちに正しい判断・行動を取ってもらうには、DXリテラシーを高めておいてもらう必要があります。DXについて理解するだけでなく、「正しい知識を実践で活用する」ためのマインド・スタンスを、従業員一人ひとりに持ってもらうことが重要です。

Digital Transformation Next ~シリコンバレー発DXレポート~(CTC DX Days 2021 chapter2 講演資料)
C-Native 企業のDX実現に向けたクラウドネイティブソリューション

DXリテラシーとITリテラシーの違いは何か

「ITリテラシー」もよく耳にする言葉ですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。

まず、ITリテラシーとは、PCやスマートフォンなどのデバイスやネットワークなど、「IT技術そのものを使いこなせる知識」のことです。ITを安全に使うためのコンプライアンスや情報セキュリティの知識も、ITリテラシーに含まれています。デジタル技術やシステム導入など、IT化を進める際には、ITリテラシーが必要不可欠です。

一方で、DXリテラシーは、「IT技術を利用することで、DX化を進めていく知識・マインド」を指します。DXの観点から見ると、IT技術やデジタルツールを利用することは、あくまで目的のための「手段」でしかありません。DXリテラシーは、「ITの活用によって、自社のビジネスを根底から変革し、市場で優位に立つこと」を目的としたスキルです。この意味で、ITリテラシーよりもさらに実践的なリテラシーと考えられます。

DXリテラシーを高める効果

では、DXリテラシーを高めることで、どのような効果が生まれるのでしょうか。

DXに向けた社内の協力体制が築きやすくなる

DX推進は、DXを直接担う部署だけが取り組めばいいというものではありません。「全従業員」がDXリテラシーを持ち、DX化をよりスムーズに進めることが大切です。
特に、経営層と現場部門とが「DX推進の必要性」を共通理解として持つことが重要です。これを怠ると、必要なデータを連携させられず、DXは形だけの取り組みになってしまう恐れも生じます。
このように、DXを効果的に実行する基盤として、「なぜ自社内をDX推進するのか」という理由・メリットを、あらゆる役職の従業員たちが十分に理解し、共通認識として持っておく環境を構築する必要があります。
またDXリテラシーを全従業員が身に付けられれば、DX人材の育成も迅速に進めていけるでしょう。

業務効率化につながる

「DXリテラシーを高める」ことは、業務フローの見直しや改善を行う習慣を社内に根付かせることでもあります。例えば従業員たちが「これまで気が付かなかった無駄な作業」などを自分で見つけるようになり得ます。さらに、それらの無駄を省き、その分の労力をより重要な業務へリソースを集中させるようになるなど、自主的な業務効率化を図ってくれると期待できます。

またDXの一環としてRPAを活用し始めた企業も、最近多くなっています。これにより、毎日のルーティン作業を可能な限り自動化します。当然、担当者の負担が大幅に軽減され、その分の労力でより生産性の高い業務を行うことが可能となります。

新しいことに挑戦する文化が生まれる

DXとは、ただ「便利なITツールやシステムを導入する」といった意味ではありません。それらツール・システムを手段として、「ビジネスを根底から変革する」という大きな目的を持ちます。
したがってDXは、一朝一夕で実現できるものではありません。「一定の時間がかかること」を前提に、全従業員が一丸となり取り組んでいく必要があります。その過程で、従業員たちには、さまざまな新しい知識・スキルを含め、DXリテラシーを学んでもらうことが不可欠です。

従業員たちには「DXがなぜ必要なのか」をしっかり理解してもらいつつ、未知の知識を積極的に取り入れる前向きなスタンスを習慣づけてもらうことが理想です。それにより自ずと、先進的なテクノロジーを採用したシステムを導入したり、新規ビジネス開拓にチャレンジしたりする社風や文化が生まれるのです。
「このような社風・文化は、社会や投資家からも評価されやすい」という点は大きなメリットです。それらが根付いていることをアピールすれば、自社の企業価値も高まると期待できます。

DXリテラシーの全体像

DXリテラシーと昨今呼ばれているものの全体像は、下記のような「DXリテラシー標準」を基にすると、非常に理解しやすくなります。
経済産業省は2022年3月、「働き手一人ひとりが学び続ける姿勢を持つべき」として、「DXリテラシー標準」を策定しました。ここには、働き手がDXへ参画する際の基準となる、マインドやスキルが示されています。

DXリテラシーには、大きく分けて

  • DXの必要性を知ること(Why)
  • DXの基礎知識を得ること(What)
  • アイデアに基づいて活用すること(How)

の3つが要素として求められます。具体的には、それぞれ下記のような意味合いを持っています。

【Why】DXが必要とされる背景を知る

WhyはDXリテラシー育成のファーストステップであり、「そもそもDXがなぜ必要とされてきたのか」という背景を知ります。

近年、社会・顧客価値・競争環境がそれぞれ大きく変化しています。その変化を適切に把握しながら、それらに適合するよう自社ビジネスを変革するために、DXの重要性が増してきています。
このことをより具体的に学ぶには、例えば「日本と世界それぞれがDX化へどのように取り組んでいるのか」を直接の学習対象にすることが有効です。これにより、「国内外の社会における課題が、データ活用やデジタル技術によって解決可能なこと」が明確に認識できるようになります。

また「デジタル技術の発展自体が原因となり、顧客価値が多様化したり、市場での競争が激化したりしている」という現状も、DX推進が活発化している背景として、理解し直しておくことも大切です。

【What】DXで活用されるデータ・技術の基礎知識を知る

次にWhatの段階として、DX推進を具体的に進める上での基礎知識を学習します。直接的な学習対象は、「データやデジタル技術面での基礎知識」です。

例えば経営者としてDX推進を展開する際も、このWhat段階の知識をしっかりと持っておけば、全社を巻き込んで推進しやすくなります。具体的には、「BIツールでデータを分析・活用するためのアプローチ方法」や「AIやクラウドサービスの種類と活用方法」などが挙げられます。
もちろん経営陣以外にも、全従業員たちがそうした基礎知識を習得・共有することが重要です。知識やスキルが共通言語として機能し、スムーズなDX推進が実現できるようになります。

【How】データ・技術の活用法を知る

DXに関する必要性を理解し、基礎知識も身に付けていることを前提に、How段階を学びます。データやデジタル技術について、「実際にどう活用すればよいのか」というアイデアを形にしていきます。

企業には、ビジネスに必要なデータやデジタル技術を従業員側へ積極的に提供し、自主的に学ぶ機会を設けることが求められます。また、経営者はもちろん従業員たちも「情報セキュリティ対策・倫理モラル・コンプライアンス」といった要素を正しく知っておかなくてはなりません。これらを全社で遵守してこそ、適正なDX推進が実現するからです。

マインド・スタンス

「DXリテラシー標準」では上記のWhy・What・Howのほかに、「DXに臨むためのマインド・スタンス」も、ひとつの学習ステップとして用意されています。「目まぐるしく変化する現代社会で、DX化で新しい価値を生み出すために必要な意識・行動基準」として、確かなマインド・スタンスを培います。

例えば経営陣は、「新しい価値を生み出すために特に重要となるマインド・スタンス」を特定した上で、それを従業員たちにも浸透させる方法も、具体的に検討すべきです。「適切な行動例一覧」などを作り、従業員に示すことも有効です。

またマインド・スタンスでは、基本的に「個人単位での行動や姿勢」が重要とされます。しかし従業員たちがそうしたマインド・スタンスを培いやすい環境を、組織・企業の側から整えることも大切です。そうして企業は、従業員たちのマインド・スタンス育成に取り組み、従業員たちと一丸となって「現代社会における自社の強み」を表明できるような状態を、構築することが理想です。

併せて、(DXに限らず)何か新しいことを見つけ・受け入れて育てていく土壌となるマインドセットも、ぜひ経営者・従業員たちで学んでいきましょう。

DXリテラシーを高めるためのポイント

個人がDXリテラシーを高める具体的方法としては、以下のように、講座を利用したり検定を受けたりすることが推奨されます。

外部のDXリテラシー講座を活用する

近年は、DXの重要性が認知されるようになったことで、DXに関する講座やEラーニングサービスを提供する企業が増えています。大規模なDXでなくても、自社の現状にフィットする形でDXを実現すれば、業務が効率化されたり生産性が上がったりします。

「DXへの前向きなマインド」を育成するには、上記のようなサービスを利用して、社外研修のプランを設定し、従業員たちに受講してもらうことも一案です。履修者自身のスキルレベルに合わせて、基礎から応用まで網羅的に学べるほか、「多忙でまとまった時間が確保できない」という従業員でも、隙間時間に活用してもらえます。

自己学習を奨励する

先述した外部講座と併せて、各種検定や資格取得試験への挑戦を促すことも有効です。その際、資格取得にインセンティブを与えると、意欲を引き出せるようになります。
検定や資格への挑戦は、従業員たちの自己学習欲を刺激する、非常に明確なきっかけになります。うまく習慣化することで、社内にDXリテラシーが自然と育まれていくでしょう。

DXに関する資格は大きく分けて、「DX推進に直接関わる資格」と「DXを進めるためのITスキルを測る資格」の2パターンがあります。前者では、以下のような検定がおすすめです。

DX検定

先端IT技術トレンドとビジネストレンドを幅広く問う知識が出題され、デジタル技術をビジネスに活用できる人材育成に適しています。

採点結果は合格ラインが設定されておらず、1000点満点でスコアが与えられる仕組みになっているのが特徴です。また、優秀なスコアを出せば、以下のようなレベル認定証が発行されます。

  • スコア800以上:「DXプロフェッショナルレベル」
  • スコア700以上:「DXエキスパートレベル」
  • スコア600以上:「DXスタンダードレベル」

デジタルトランスフォーメーション検定

3つのレベルに分かれており、初級編である「DXパスポート試験」では「DXの概要」「国内外でのDXの活用状況」「AI・ビッグデータ・IoT・クラウドに関する基礎知識」などが問われます。

中級レベルは「DX推進アドバイザー認定試験」です。
受験対象者は、「DX推進を目指す企業へ、アドバイスする立場」になりたい人などが想定されています。

さらに上級編に「DXオフィサー認定試験」が用意されています。これに合格した人は、「各種の管理者・責任者の位置で活躍できる人材」であると示されます。

どんな検定に関しても、合否ではなく、チャレンジすること自体が大切です。検定を通して、ITに関する知識だけでなく、「DX化を実現するために必要なマインド」も学べるため、特にDXリテラシーを培うのに適しています。インセンティブなども用意し、従業員たちが積極的に挑戦したくなる環境を整えてください。

また以下のように、プログラミング言語などの資格も、DX推進に役立ちます。

Python試験

プログラミングスキルは当然、DXと好相性の分野です。特にPython(パイソン)は昨今、非常に人気が高まっているプログラミング言語で、機械学習やAIなどの分野で多く活用されています。

Pythonに関連した試験も多く実施されています。文法について基礎を問う「Python 3 エンジニア認定基礎試験」と、Pythonを活用したデータ分析の知識を問う「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」などが実施されています。

ワークショップなど活用する

ワークショップは、DX関連の知識・スキル、そしてマインド・スタンスを学習する機会として最適です。他企業の人たちと共にワークショップに参加する経験を通して、従業員たちの向上心も養えます。経済産業省をはじめ、さまざまな機関がDX関連のワークショップを開いているため、自社にフィットするものへの参加機会をセッティングしてください。

また自社内ワークショップを開催すれば、DXに関連する体制作りについて、実際に従業員たちを巻き込んでPoC(Proof of Concept:概念実証)を作ったり、企業側への要望をヒアリングしたりできる機会にもなります。これらを定期的に行えば、DX推進に向けた実践的な経験として、具体的なアイデア・データを蓄積できるようになります。

まとめ

今やDXはあらゆる企業で盛んに取り組まれています。その中で、DXについて正しく理解することや、習得した知識を実践・活用できるマインドの確立が、改めて認識されるようになってきました。こうしたDXリテラシーを社内で高めることで、スムーズにDX推進を実現できるようになり、結果的に業務効率化が図れたり、社内体制を強固に構築したりできるメリットが得られます。

また、DXリテラシーを確立するには、基本的なマインド・スタンスを前提に、「DXの必要性を知る」「基礎知識を得る」「アイデアを基に活用方法を知る」といった3要素を学ぶことが必要です。それらを目的として、従業員たちに、「DX関連の外部研修を受講してもらう・DX関連の各種資格を取得してもらう・ワークショップなどで知見を蓄積してもらう」などが効果的です。ぜひ自社に合った形で、DXリテラシーを高める取り組みを始めてください。

参照元:DXリテラシー標準 Ver1.0(経済産業省)

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