DX推進のアイデアを生み出すコツは?失敗を恐れず成功に近づく

 2023.05.19  2023.06.12

変化する社会やニーズに対応するため、多くの企業にとってDX実現は優先度が高い課題となっています。しかし、ただデジタル化するだけに留まり、企業の変革まで行き届いていない企業は多く、そのためのアイデアが出てこないと悩む企業も少なくありません。そこでこの記事では、DX推進に向けてどんな組織づくりが必要か、どのようにアイデアを生み出していけばよいか、などについて解説します。

デジタル化を推進すべき”23の領域” とは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)の概要

DX推進には、デジタル技術の活用が欠かせません。しかしDXは、単に業務削減や品質向上だけを目的とするデジタル化ではありません。ここでは、DXの推進方法について考える前に、DXの概要や政府のスタンスについて改めてまとめます。

DXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル変革を意味する言葉です。DXでは、変化する社会や消費者ニーズに基づき、企業が蓄積しているデータと共に、AI・IoTといったIT技術を活用しつつ、既存のビジネスモデルや従来型の組織を変革します。これにより企業は、市場での競争力を強化・維持することを目指します。

現在では、新型コロナウイルス感染症の流行などの影響もあり、すでに多くの企業がデジタル化に取り組んでいます。しかし、トランスフォーメーション(X)の部分については、未だに理解されていない現状があると、「DX白書2023」でも語られています。

参照:DX白書2023 P.4

経済産業省はDXを推進している

経産省は2018年に公開した「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート」においてすでに、DXの重要性を明記していました。同レポートでは、DXの足かせとなり得るレガシーシステムの問題に対して警鐘を鳴らし、その対処の必要性も強調しています。このように経産省はDXの啓発活動を数年前から継続してきました。さらに2020年には、経営者がDXに取り組むために実践すべき内容を「デジタルガバナンス・コード」として取りまとめ、公開しています。2022年9月には、改訂版が公開され、現在でもDXが経産省により推進されていることがわかります。それに応えるように、現在も各企業はDX推進や積極的なデジタル活用を続けています。

参照:
D X レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
デジタルガバナンス・コード2.0

マルチクラウド環境におけるアイデンティティ・ガバナンスのベストプラクティス
DX導入事例・ユースケース集 ~ CTCが提供する業務改革型DXソリューション ~

DXを進めるためのポイント

DX推進を自社の利益増大につなげるようなビジネスモデルは、画一化されているわけではありません。したがって企業がDXを進める際は、まだ世の中に存在しない新しいビジネスや前例のない仕組みを考案・実践しなくてはならないケースも少なくありません。そこで重要になるのは、常にPDCAを回しながらトライアンドエラーを繰り返していくことであり、経営者や従業員たちが失敗を恐れずに挑戦し続けることです。具体的には以下の2点を押さえてください。

失敗を恐れない社内の環境を作る

DXを積極的に推進している企業では、そうではない企業と比較して「失敗を恐れない文化がある」と言われています。逆に失敗を許さない組織では、失敗する可能性が高いチャレンジは忌避されイノベーションが生まれにくくなるため、さらなるDX推進は厳しいでしょう。

「DX白書2023」によると、大企業の約4割はすでにDXに取り組んでいます。※1

一方で、DX取り組みの成果が出ていると答えている企業は58%です。※2

まだ約半分の企業が、DX推進による取り組みの成果が出ていない理由として、同書内では「いまだに既存ビジネスの効率化中心だから」だと語られています。(株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所 執行役員 エグゼクティブ・コンサルタント 三谷 慶一郎氏)※2

もちろん、既存のビジネスの効率化も重要です。ですが、ただ業務効率化(デジタル化)するだけでは、トランスフォーメーションには至りません。デジタル化を通じつつも、失敗を恐れずに、既存のビジネスを進化させ、時には既存のビジネスモデルを脱却し、新たな価値を創出できるような環境を作り上げることが、デジタル・”トランスフォーメーション”に繋がります。

失敗を恐れずアイデアを多く出す

先述のように、DXを成功させるためには失敗を恐れずに新しい価値を生み出していくことが重要です。なるべく数多くのアイデアを出し合い、トライアンドエラーを繰り返しましょう。

例えば、新入社員の何気ないアイデアが大きなビジネスチャンスにつながることもあります。今まで自社になかった視点から出された案など、新規性を持つアイデアは積極的に検証してみましょう。
すべての従業員たちが互いを否定することなく、自由に意見を出し合う環境でなら、有効なアイデアが生まれやすくなります。例えば、企業視点ではなく消費者視点に立つことで、ニーズにフィットするアイデアを柔軟に創出する「デザイン思考」も実践しやすいでしょう。

DXのアイデアを生むためのコツ

利益向上につながるDXを成功させるには、新鮮なアイデアを取り入れることが重要です。現場で生まれる小さな気づきや些細なアイデアによってDXを推進すれば、大きなビジネスチャンスを得られることもあります。ここでは、DXへ活用可能なアイデアを生み出すためのコツを、3つ紹介します。

企業の方針を従業員に浸透させる

「DXをどう推進したいか」という自社の方針を全社的に周知し、従業員たちに浸透させておくことが大切です。例えば、DXによって「どのような経営者の理念を実現したいのか」「どのようなデータを活用し、どのような自社課題を解決したいのか」など、改めてDX推進のゴールを具体的に共有しましょう。これにより従業員たちもより適切な議論を展開しやすくなります。

経営陣が常にDXに関する最新の情報を触れる

DXは単なる業務のデジタル化ではなく全社的な変革を目指す取り組みです。そのためDXを成功させるためには、経営層がDXの重要性を正しく理解し、その推進を率先して牽引する姿勢を見せなくてはなりません。常にDXに関する最新の情報、事例などに触れ、最新のデジタル技術やツールなどにアンテナを張りましょう。

他社の事例と自社の方針の共通点を探る

他社事例を参考にすることも有効です。またアメリカ企業・中国企業など、海外でのDX事例も参考になります。特にアメリカでは、約9割がDX化による成果が出ていると回答しています。※2

DX成功の事例を調べる時は、「その企業を取り巻く環境や業界が抱える課題」「当該企業の強みや弱み」などに着目しましょう。それらのポイントについて自社との共通点を探ることで、転用できるアイデアを見つけられるかもしれません。例えば、働き手不足や新型コロナウイルス感染症による業績悪化について、競合他社がDXによって解決を図った事例や、他社が新たに始めたビジネスに使われているデジタル技術などを調べれば、自社に取り入れられるアイデアも見つかりやすいでしょう。

DXのアイデアの実現には長期的な予算が必要

DXはすぐに実現できるものではなく、時間や費用がかかります。この際、成果がすぐにでないからと言って経営者側が予算を打ち切ってしまえば、それまでの取り組みが水泡に帰してしまいます。失敗の反復を前提として、時間・費用をかけられる体制を築いておく必要があります。
また多くの企業では、常にその時々で老朽化した既存システムを刷新して、新規システムへ移行することも必要になります。古いシステムを放置すると多額の損失につながる恐れもあります。一般に新規システムを構築するためには少なくない時間や費用がかかるため、経営層で理解を固めておかなければなりません。

まとめ

DX実現に取り組む際は、ただデジタル化するだけではなく、そこからどのように変革をしていくのかを考える必要があります。変革していくにあたって、新たな価値観を創出するためにも、従業員たちが数多くのアイデアを出し合える環境を整えておきましょう。時には社外からも広くアイデアを募ることも有効です。
どんなアイデアでも理由なく否定せず、実現可能性を考えましょう。奇抜に見えるアイデアでも、DXの一環としてうまく実現できれば、企業や顧客にメリットがもたらされるケースは少なくありません。

「アイデア出しがうまくいかない」とお悩みなら、下記アイデアブックを一読してみてください。DX実現に併せたアイデア創発について、具体的なヒントやポイントがピックアップされています。

※1:引用:DX白書2023   P.6
※2:引用:企業DXの戦略

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