取引先との接点の変化とマーケティング施策
~営業とマーケティングの連携で生まれる新たな価値~【後半】

 2024.03.29  デジタルビジネスシェルパ

取引先との接点の変化とマーケティング施策~営業とマーケティングの連携で生まれる新たな価値~【後半】

前半では、取引先との接点をWeb上で持つことが多くなった時代に即した、営業部門とマーケティング部門の連携について、登壇者それぞれの切り口からお話しいただきました。後半はさらに掘り下げ、営業とマーケティングを連携させる事例と課題についてお話しいただきます。

登壇者プロフィール

滝澤 保志伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
エンタープライズ事業グループ デジタルビジネス推進第2部
滝澤 保志


2003年 伊藤忠テクノサイエンス株式会社(当時)入社。CTCの取り扱うネットワーク製品の選定、提案、導入支援に従事。
2012年より CTCのASEAN地域における海外事業の立上げに従事し、途中4年間のタイへの駐在期間も含め日系企業のITシステムのコンサルティングを中心にグローバル展開する企業のサポートを担当する。2019年より企業のDX推進を担当する。

佐藤 元信伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
エンタープライズ事業グループ デジタルビジネス推進第2部
佐藤 元信


2003年 伊藤忠テクノサイエンス株式会社(当時)入社。
製品サービス主管のプリセールス支援やアカウント営業として大手自動車メーカー、食品卸・メーカーなど担当。ベンチャーキャピタルへの出向や食品卸と共同で新規事業の企画創出を経験し、2019年よりDX領域で「データマネジメント」「新規事業創出支援」「デジタルマーケティング」など多様な施策の立ち上げに従事。

冨田 健介伊藤忠インタラクティブ株式会社
デジタルマーケティング事業部 デジタルソリューショングループ プロデューサー・ストラテジープランナー
冨田 健介


大手書店を経て、エンタメ系出版社にて海外事業を立ち上げ統括プロデューサーを担当。
韓流コンテンツの輸入および東アジア展開を見据えた日韓エンタメ事業(文化交流含む)を推進。
その後、BtoBマーケティング支援会社のディレクター、メディカル系ポータル会社の営業コンサル、デザインファームのデジタルマーケティング、サステナブルブランドコミュニケーションのプロデューサーを経て、現職。主に事業開発、サービス開発、データ活用等のデジタルマーケティング上流における戦略設計、プロデュース、PMOを担当。

安永 和功伊藤忠インタラクティブ株式会社
デジタルマーケティング事業部 デジタルソリューショングループ マーケティングディレクター
安永 和功


通販事業者(基礎化粧品/サプリメント販売)でマーケティングディレクター/制作ディレクター/セールス。
コピーライターとして従事した後、Webマーケティング事業者にてオンライン英会話スクールなどBtoC商材のマーケティング戦略・販売戦略の策定、KPI設定、Webサイト制作ディレクションなどデジタルマーケティング全域を担当。
広告制作会社にてプロデューサーを経て現職。BtoB、BtoCを問わずデジタルマーケティング領域における戦略立案・KPI設計・施策立案、新規ビジネス立ち上げ支援、新規ビジネスサービス設計、Webディレクション、UI/UXデザイン、インサイドセールス設計、GA4分析など担当。

デジタルマーケティングソリューション

営業とマーケティングを連携させる!事例と課題

前半では、取引先との接点をWeb上で持つことが多くなった現在、精度の高いデジタルマーケティングで顧客ニーズを顕在化し、営業の精度を上げる必要性がますます高まっている現状について、それぞれの立場から考察していただきました。営業部門とマーケティング部門の分断を防ぐ体制づくりと意識の統一によって、全社を挙げた「戦略ありきのデータ活用」を図っていく必要があるということです。

滝澤氏
ここまで、データの活用と組織間の連携についてお話しいただきました。次は、このお話にあてはまる、実際の施策や体験談について聞かせてください。

安永氏
ある企業のデータ基盤の構築とデータ活用施策の支援を担当したことがあります。この会社は4つの事業部に分かれていて、それぞれの部門でデータを保有していました。これを用いて、マーケティング施策や新しい販売戦略を作っていきたいという依頼をいただきました。
まず、4つの部門それぞれがどんなデータを持っていて、顧客にどのようなアプローチをしているのか、拝見しました。その上で、データ活用によってどういったことができるのかを立案し、将来にわたるデータの相互活用や売り上げ拡大に活用していくかをご提案しました。

冨田氏
そうですね。基盤を構築する前に、それぞれの事業部で行われている施策の検証をしました。また、全体最適についても検証しました。
この企業は、もともと「インフラを1つに集約できるデータ基盤を作りましょう」という発想を持っていらっしゃいました。しかしながら、各部門にデータが散在していて、データ基盤の統合がうまくいかなかったとのことです。そのタイミングで相談にいらっしゃいました。そこで、我々は施策を検討し、出口戦略を描くお手伝いをしました。

滝澤氏
データ基盤を統合したいと大きなことを考えていても、なかなかうまくいかないということがわかりますね。

佐藤氏
マーケティング担当と営業担当のコミュニケーションの形成が難しいということを耳にします。いかにコミュニケーションを築き、密な連携を図るかで悩まれているご担当者様とお会いすることがございます。マーケティング部門から営業部門にアカウントを引き継ぐ時に、営業が受注しやすい状況でなく、顧客の要望が把握できていない。ということでフォローの優先順位が低くなるケースもあると伺います。こういった現状を変えていくためにもツールやシステムの整備だけでなくどのように業務に落としていくかが重要ですね。

BtoB企業向けデジタルマーケティング支援概要
BtoC企業向けデジタルマーケティング支援概要

リード解像度の向上とAIの登場で変化するマーケティング

滝澤氏
マーケティング担当と営業担当のコミュニケーションを密にするために、企業がとるべき施策を教えてください。

佐藤氏
まずはサイト来訪者を特定することだと考えます。来訪者を特定することで、各営業が担当する顧客の動きについてコミュニケーションができる状況となり、顧客の購買意思決定のステージの状況を見ながらマーケ部門と営業部門の間で次の打ち手を決めていくといったコミュニケーションを行う機会が生まれることが期待できます。

安永氏
サイト来訪者を特定するにあたっては、どういったかたちでどこまで特定できるかが肝となります。Cookieが規制されるなど、様々な規制がある中で、どこまで顧客の特定ができるのか、そして特定することによるメリットをいかに見出すかという課題があります。それから、会員限定サイトを作る場合は、どのように会員を増やすかという課題も付きまといます。

佐藤氏
BtoBだと、とくに企業と個人の特定が重要になりますね。システムサイドではカスタマー・データ・プラットフォーム、つまりCDPの活用が考えられます。

滝澤氏
ここまで、Web上のやり取りが増えたことの影響をお話しいただきました。続いて、今後のさらなる変化について語っていただきたいと思います。そこには、AIの影響力が大きいのではないでしょうか。皆さんは、AIの登場でマーケティングはどう変わるとお考えですか。

佐藤氏
AIが分析したり創造したりすることで、PDCAサイクルが加速するだろうと考えています。

安永氏
同感です。現在、マーケティングオートメーションにおけるAIの活用に乗り出すベンダーが増えつつあります。今後は、基本的なデータ分析や、メルマガの作成、ABテストなどの比較的フォーマットに沿った行動には、あまり人が介在しなくなっていくだろうと思います。

佐藤氏
そうなってくると、より一層、人間ならではの価値提供が求められるようになりますね。

IICとCTCの協業で生み出される強力な支援体制

滝澤氏
ここまで議論してきたマーケティングと営業の連携によるデータ活用という分野において、IICとCTCが協業するメリットは何でしょうか。

安永氏
私たちIICは、マーケティングに強みを持っています。一方、システム構築はCTCの知見と実現可能性が頼りになります。相互に補完できるところがメリットです。

佐藤氏
テクノロジーについては得意としていますが、お客様のビジネス・業務的な課題を的確にとらえ、改題解決に最適なテクノロジーを提案することについて改善・強化する余地があると考えています。その点でIICの豊富な知見やノウハウをもって協業できることがお客様への価値を高めると考えています。

滝澤氏
2社の協力が、お客様のデジタルマーケティングを強力に支援するという、熱いメッセージを感じます。

安永氏
将来的には、AIの設計と効率的な活用の提案も二社でできると良いですね。例えば、AIを使ってマーケティングのPDCAにおける成功パターンを見つけるといったことが考えられます。CTCはAIの活用についても取り組みを進めていると聞いてます。そこで、IICが全体の戦略および施策を講じ、効率的に回すためのAI活用による仕組みづくりをCTCが担当するといった協業も面白いのではないでしょうか。

まとめ

Web上の顧客との接点が増えている現在、営業部門とマーケティング部門のコミュニケーションは非常に重要です。企業は、営業部門とマーケティング部門の分断を防ぐ体制づくりと意識の統一によって、全社を挙げた「戦略ありきのデータ活用」を図っていかなければなりません。
しかしながら、多くの企業は、コミュニケーションの形成に困難を感じています。そこで、マーケティング部門から営業部門へのバトンパスにおいて営業が受注しやすい状態を作ることや、リード解像度をさらに向上させることなどが求められています。
AIの登場など変化の激しい時代にあって、営業とマーケティング、それぞれの担当者は人間ならではの価値を創造し続けなければなりません。

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