マーケティングDXを阻む壁、どう乗り越える?
【伊藤忠テクノソリューションズ×石井龍夫氏対談】

 2024.04.01  デジタルビジネスシェルパ

マーケティングDXを阻む壁、どう乗り越える?【伊藤忠テクノソリューションズ×石井龍夫氏対談】

 昨今、マーケティング活動のDXを推進する上で、データの効果的な活用や取り組みの全体最適化といった課題に直面する企業は少なくない。特に、事業規模の大きな企業ほどサイロ化された情報や従来のマスマーケティング文化など困難な壁が立ちはだかるケースが多いのが現状だ。本記事では、デジタルマーケティングソリューションを提供する伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の工藤氏と金本氏、長くデジタルマーケティングの推進に携わってきた石井龍夫氏にインタビュー。課題に悩む企業や担当者に向けて、解消のポイントや必要な考え方を伺った。

この記事は、タイアップ広告として翔泳社MarkeZine(https://markezine.jp/article/detail/44530)に2024年2月7日に掲載した記事を転載したものです。登場者の肩書などは掲載当時のものです。

デジタルマーケティングソリューション

デジタルマーケティングの第一歩は、社内データの集約と活用から

MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに、自己紹介をお願いいたします。

金本:伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)で、企業様のデジタル活用の企画構想や実行支援を行っています。現在は、デジタルマーケティングのプロモーションやソリューション開発を主に担当しています。

デジタルマーケティングの第一歩は、社内データの集約と活用から 01

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 エンタープライズビジネス企画室 デジタルビジネス推進第2部
リードスペシャリスト 金本正徳氏

工藤:元々は開発系のプロジェクトを担当していましたが、当社がITコンサルティング事業に注力するにあたり現職に就きました。私や金本の部署ではDX推進というテーマのもと、その実現を支えるデジタルマーケティング支援をミッションとしています。

石井:私はデジタルマーケティングのアドバイザーとしてCTCに携わっています。これまで、花王で30年以上マーケティングやブランディングを担ってきました。現在は日本の大手企業のDX推進やデジタルマーケティングのサポートをしており、CTCではデジタルマーケティング勉強会の講師や外部企業に提案する資料のアドバイザーを務めています。

MZ:色々な企業のデジタルマーケティング推進を支援していく中で、どのような課題が多く聞かれますか。

工藤:多くの企業から伺う課題は、各部署で情報が閉じているために生じる「組織間の壁」です。そもそも会社の情報として各組織へと情報を共有化しない限り、マーケティングは成立しません。大掛かりな組織変革も必要ですが、まずは部署間の情報をITでつなぐ基盤作りから始めることが大事です。

デジタルマーケティングの第一歩は、社内データの集約と活用から 02

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 エンタープライズビジネス企画室 デジタルビジネス推進第2部
部長 工藤浩氏

石井:「外部からデータを集めること」が、企業のデジタルマーケティングにおいて重視されている場合がよくあります。しかし大切なのは、既に自社内にありながら、組織やシステム間で分断・サイロ化されたデータを有効活用することです。まずは価値ある社内データを一ヵ所に集め、シェアできる環境を作ることからデジタルマーケティングは一歩進んでいきます。

デジタルマーケティング推進は「部門ごと」でなく「全社ごと」

金本:また、多くの企業のDX推進が「社内向けシステム」中心になりがちですが、これだけでは直接的な事業成長につながりにくいと考えています。マーケティングのデジタル化は、より事業の成長に貢献するテーマとしてもっと積極的に取り組むべきではないでしょうか。

石井:デジタルマーケティングは、社外に丸投げしてもなかなかうまくいかないものです。会社の将来的なビジョンまで深く理解できている人が進めることで、成長戦略に基づいた結果が出せます。そういう人材を社内で育てていかないと、本質的なデジタルマーケティング推進が実現できているとはいえません。

デジタルマーケティングの第一歩は、社内データの集約と活用から 03

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 エンタープライズビジネス企画室 デジタルビジネス推進第2部
デジタルマーケティングアドバイザリ 石井龍夫氏

工藤:確かに我々支援する側から見ても、企業様側にも推進の中心となっていただく存在が必要ですね。そういう意味では、社内の人材不足も取り組むべき課題と考えられます。大きな目線でデジタルマーケティングを引っ張ってくれる人材を育成し、内製化する体制作りをサポートしていくことも、我々の仕事の一つだと感じます。

石井:あとは、デジタルマーケティングの推進を任された部署が、自分たちだけで対応しようと考えるケースも多いですね。デジタルマーケティングの推進は「部門ごと」ではなく「全社ごと」です。

 従来型のマスマーケティング文化と成功体験が企業のカルチャー化し、現場の「変わりたい」という要望への圧力になっている場合が少なくありません。それを変えるにはトップも巻き込んでマーケティングの方向性を変えていく必要があるのです。

マーケティングの真のデジタル化を目指してマーケティングデジタル化構想サービス
BtoB企業向けデジタルマーケティング支援概要

課題に切り込むカギは、デジタル活用で「小さな成功体験」を重ねること

MZ:これらの課題を解消するポイントについて教えてください。

工藤:いきなり大きく変えるのは難しいため、まずは小さい成功体験を重ねることがカギになります。当社の場合は、施策・システム・組織改革の面から成功パターンを探り、提案しています。

 社内の関係者が同じ情報を見ながら仕事できる環境を整備するだけでも、効果は出るものです。「こんなことで成果が上がるんだ」と驚かれるケースも多いですね。

石井:従来型のマスマーケティングの場合は、PDCAサイクルの期間が長いことが特徴です。たとえばテレビCMを作り数ヵ月かけて投下していくと、効果検証の前に次の施策を打つことになりがちです。

 一方、デジタルは効果検証がしやすい。これはマーケティングにおいて大きなメリットです。小さな成功をスピーディーに重ねることができる上、施策の効果をデータで説明可能です。加えて他の施策への横展開もしやすいです。小さな成功を重ねられれば、社内の意思決定層にも納得感を持ってもらえ、その動きは自然と現場へ降りていきます。私はこれを「シャワー効果」と呼んでいます。

金本:マーケティングのデジタル化においてサイロ化・部分最適とならないようにするためには、全体像を描くことが有効です。全体像を描けていれば、小さく取り組みを始めてもそれが全体のどこに位置付けられるかがわかるため、PDCAサイクルで「何を目的に、どこを改善し、どのような成果につなげるか」を明確にできます。

課題に切り込むカギは、デジタル活用で「小さな成功体験」を重ねること

いきなり全社的な視点を持つ必要はない?

MZ:小さな成功事例は、部署単位でできることから重ねていきますが、その際にも全社的な視点は持っておくべきでしょうか。

工藤:実際には、全社的な視点を持たずに進めているケースが大半です。企業のトップ層としても「いきなり全社的な話をされても、簡単には着手できない」と思います。

 そこで、社内の様々な成功事例から考えていくことも一つの手です。組織の規模が大きくても、部門間の共通事例を使って成功体験を共有できれば、成果につながりやすくなります。このようにミクロで進めつつ、同時並行でマクロな視点も持てるようになる形がよいのではないでしょうか。

石井:やはり「部門最適化」の視点だけで進めると、うまくいかなくなります。そういう意味では、デジタルマーケティングの名のもとに各部署で様々なツールを「つまみ食い」することは問題です。大切なのはツールを入れること自体ではなく、何を実現するためにそのツールを入れるのか、というマーケティングの課題と目的の部分です。

金本:企業様がデジタルマーケティングに取り組むにあたり、3つのハードルがあると考えます。1つ目が、そもそもデジタル活用を含むマーケティングの全体設計をやった経験がないこと。2つ目が、マーケティングは宣伝・広告・Web施策など多岐にわたるため、全体像の把握が難しいこと。3つ目が、社内で複数部署にまたがる取り組みに慣れていないこと。

 これらのハードルを企業や担当者様が単独で克服することは非常に大変なので、外部の支援を適切に活用すべきだと思います。

SIerだからこそ実現できる、デジタルマーケティングのトータル支援とは

MZ:デジタルマーケティング支援において、貴社だからこそ提供できる価値についてお教えください。

金本:やはりSIer(システムインテグレーター)である当社には「ツールを導入したい」というご相談内容が多いです。しかし、ツールを入れることがデジタルマーケティングの目的ではありません。

 当社が提供する「マーケティングデジタル化構想サービス」は、デジタルを活用したマーケティングの全体像を描き、実現することを伴走支援するサービスです。マーケティング施策とそれを実行するための業務内容、必要なデータ、それらの運用を支えるシステム。顧客企業様が目指すものを実現するにあたって、ビジネスゴール・顧客体験を起点に何が必要かをはじめのフェーズで明確にしていきます。

SIerだからこそ実現できる、デジタルマーケティングのトータル支援とは

「マーケティングデジタル化構想サービス」概要(クリックして拡大)

金本:そして、施策・データ・テクノロジーの関係を示すデジタル化の姿をアーキテクチャ(構造)として俯瞰できるよう可視化。それをリファレンスとして活用しながらデジタル化の取り組みの実行に向けたシナリオを描き、課題やフェーズに応じたノウハウをデータとテクノロジー中心に提供します。スモールスタートから始めてマーケティング施策を業務に落とし込み、PDCAを回せるまでトータルで支援していきます。

石井:私自身、花王時代から関わってきて、CTCはテクノロジーパートナーとして信用できる存在であることが強みだと感じますね。今の時代は企業がやりたいことを明確化できれば、それを実現するツールは必ずどこかにあるもの。その際に最適なツールを見つけ、実装支援をしてくれる存在として、豊富な知見を持っているのがCTCです。

デジタルはマーケティングをステップアップするツール

MZ:最後に、今後の展望についてお聞かせください。

金本:マーケティングにおいて適切にデジタル活用が進めば、必ずその先の企業成長につながると考えます。マーケティングのデジタル化への投資は、今後各企業にとってより重要なテーマになっていくはずです。当社はそうした部分を支援しながら、より成果の出せる関係を作っていけたらと考えています。

工藤:日本のデジタルマーケティングは、欧米だけではなくアジア圏の中でも後れをとっているのが現状です。当社では、ツールやテクノロジーの提供・構築に加えて石井さんのような専門家・パートナーとタッグを組み、支援体制を構築しています。ともに成長する「共創」のビジネスサイクルを作り、日本全体のデジタルマーケティングの成長にも貢献していきたいと考えています。

石井:デジタルはマーケティングをステップアップするツールであり、デジタルマーケティングは昨今多様化している顧客に最適なコミュニケーションを行う手段です。顧客を理解し商品やサービス開発につなげるため、そして国内や国外市場で生き残るために、日本企業はこの先デジタルマーケティングに一層向き合う必要があります。我々は、そのための環境作りの支援をしていければと願っています。

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