業務で使いやすいクラウドストレージの仕様や活用方法を解説

 2022.01.14  2023.08.15

クラウドネイティブなシステム環境の構築を目的として、ファイルサーバーのクラウド化が進んでいます。そこで注目を集めているのがクラウドストレージです。

本記事ではクラウドストレージの特徴や選定のポイント、法人向けのサービスについて解説します。クラウド環境にファイル共有基盤を構築する際の参考にしてください。

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クラウドストレージの特徴

クラウドストレージとは、コンピューターのデータやファイルを保管する補助記憶装置をオンライン経由で利用するクラウドサービスです。代表的なクラウドストレージとして「Google Drive」や「Dropbox」、「OneDrive」などが挙げられ、いずれもクラウド環境におけるデータやファイルの保管・共有基盤として利用されています。

従来、企業のデータやファイルの管理は、オンプレミス環境に構築されたファイルサーバーを用いるのが一般的でした。ファイルサーバーは、LANやWANなどのネットワーク上でファイルを保管・共有するためのコンピューターで、企業では主にファイル共有基盤やデータバックアップ基盤として利用されています。しかし、オンプレミス環境でファイルサーバーを運用する場合、サーバーやネットワーク機器といったハードウェアの導入が必須であり、システムの構築後も継続的な保守・運用管理が必要です。

クラウドストレージは、クラウド上に構築された仮想ストレージを利用するため、ユーザーは物理的なハードウェアを必要としません。そのため、システムの設計・開発コストやハードウェアの導入費用が不要になるだけでなく、保守・運用管理における人的リソースや管理コストを大幅に削減可能です。オンプレミス型よりも安価にファイル共有基盤を構築できるため、資金力に乏しいスタートアップ企業やベンチャー企業はもちろん、大企業でもファイルサーバーのクラウド移行先としてクラウドストレージを選ぶ企業が増加傾向にあります。

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法人・企業がクラウドストレージを選ぶ時のポイント

クラウドストレージの多くはSaaS型のアプリケーションとして提供されますが、サービスによって細かな相違点があり、それぞれにメリットやデメリットが存在します。また、料金不要で利用できる個人向けプランから、法人向けの容量無制限プランまで、幅広い層をターゲットとしたプランで構成されているため、自社に適したサービスを選定するのは簡単ではありません。法人組織や一般企業がクラウドストレージを選ぶ際は、以下のようなポイントをおさえることが重要です。

法人向けのビジネスプランの活用

クラウドストレージの無料プランは容量が限定されており、ビジネスユースには適していません。そのため、法人がクラウドストレージをファイル共有基盤として活用するためには、エンタープライズ向けのプランが用意されているサービスを選択する必要があります。サービスによって容量やセキュリティ、コンプライアンスへの対応や費用対効果もそれぞれ異なるため、自社の事業形態を考慮し、総合的な視点からサービスを選定しなくてはなりません。

セキュリティポリシーの設定

クラウドストレージは、オンプレミス型のファイルサーバーのように独自のセキュリティ要件を定義できません。そのため、導入するクラウドストレージのセキュリティポリシーに依存します。そのため、2段階認証やアクセス権限、ファイルや通信の暗号化を設定できるのはもちろん、国際標準のセキュリティ認証を得ている、または強固なパスワードポリシーを設定できるクラウドストレージを選定することが重要です。

複数デバイスへの対応

社内ネットワーク上に構築するファイルサーバーとは異なり、時間や場所を選ばず情報にアクセス可能な点がクラウドストレージのメリットです。したがって、スマートフォンやタブレットなどの小さな画面でも扱いやすいサービスかどうかをチェックしておく必要があります。また、iOSやAndroidなどに対応した専用アプリが用意されているか、外出先からでもデータやファイルに容易にアクセスできるかといったポイントもおさえておきましょう。

フォルダ階層の設定

組織単位でのファイル共有基盤を構築する際は、データやファイルの検索性が非常に重要です。たとえば、移行先のクラウドストレージが従来のファイルサーバーと同様のフォルダ階層を設定できるか、セキュリティに配慮した設計になっているかといった点を考慮しなくてはなりません。こうしたポイントは軽視されがちですが、データガバナンスを整備するためには大切な要素といえます。

期限付き共有リンクの生成

クラウドストレージは、いつでもどこからでもデータやファイルにアクセスできるものの、それは裏を返せばセキュリティポリシーやデータガバナンスを最適化しなくてはセキュリティインシデントを招く要因となるということです。とくに社外の取引先や顧客と情報を共有する際は、期限付き共有リンクを生成できるかどうかが重要です。期限付き共有リンク機能があれば、不特定多数のユーザーに情報を閲覧されるリスクを軽減できるため、社内外を問わずセキュアな情報共有が可能になります。

ランニングコストの検討

冒頭で述べたように、クラウドストレージはオンプレミス型のファイルサーバーと比較した場合、ハードウェアの導入費用や保守・運用管理のコストを大幅に削減可能です。しかし、クラウドストレージは基本的にサブスクリプション型のサービスが多く、当然ながら月額/年額のランニングコストが継続的に必要となります。サービスによって料金体系やユーザー数、容量や機能がそれぞれ異なるため、ランニングコストや費用対効果を俯瞰的な視点から検証し、自社に適したクラウドストレージを選定しなくてはなりません。

おすすめのクラウドストレージ

ここからは、クラウドストレージの主要サービスを3つピックアップしてご紹介します。それぞれの特徴を比較し、自社の組織体制や事業形態に適したクラウドストレージを選定してください。

Google Drive

Google Driveは、Googleアカウント専用のクラウドストレージです。Googleアカウントを作成するだけで15GBの容量を無料で利用可能であり、GmailやGoogleドキュメントなど、さまざまなGoogleのサービスとの連携性に優れます。また、AndroidやChromeとの親和性が高く、スマートフォンからの利用も可能です。容量を拡張したい場合は個人向けの有料プラン「Google One」、または法人向けのグループウェアサービス「Google Workspace」を申し込む必要があります。

Google One

  • 「ベーシック」:¥250(月額)/100GB
  • 「スタンダード」:¥380(月額)/200GB
  • 「プレミア」:¥1,300(月額)/2TB

Google Workspace

  • 「Business Starter」:¥680(月額)/30GB(ストレージサービス+各種グループウェア)
  • 「Business Standard」:¥1,360(月額)/2TB(ストレージサービス+各種グループウェア)
  • 「Business Plus」:¥2,040(月額)/5TB(ストレージサービス+各種グループウェア)
  • 「Enterprise」:要お問い合わせ

Dropbox

クラウドストレージの老舗として世界的なシェアを誇るのがDropboxです。Dropboxは全世界で5億人以上が利用している世界的なサービスですが、無料プランの容量は2GBとやや少なめに設定されています。しかし、扱いやすいシンプルなUIが特徴的で、ファイルやフォルダのカスタマイズ性にも優れるため、自社の運用ルールを適用しやすい点がメリットです。また、検索性にも優れており、組織単位でのファイル共有に適したクラウドストレージといえます。個人向けプランの「Plus」、ファミリー向けプランの「Family」、もしくは法人向けプランの「Dropbox Business」を申し込むことで容量の拡張が可能です。

Dropbox

  • 「Plus」:¥1,200(月額)/2TB
  • 「Family」:¥2,000(月額)/2TB(最大6ユーザー)

Dropbox Business

  • 「Standard」:¥1,500(月額)/5TB
  • 「Advanced」:¥2,400(月額)/必要に応じて容量を追加
  • 「Enterprise」:要お問い合わせ

OneDrive

OneDriveは、Microsoftアカウントを作成するだけで5GBの容量を無料で利用できるクラウドストレージです。Microsoftアカウントにログインすることで、エクスプローラーにあるOneDriveのフォルダから利用できます。Office製品との連携性に優れ、WordやExcelで作成したファイルは、保存時にOneDriveのフォルダを指定するだけで直接保存可能です。容量を拡張したい場合は、個人向けと法人向けにそれぞれ用意されている有料プランを申し込む必要があります。また、Microsoft 365のユーザーであれば、1ユーザーあたり1TB(プラン・条件により変動)のOneDriveを利用可能です。

OneDrive

「Standalone」:¥224(月額)/100GB

OneDrive for Business

  • 「Plan 1」:¥540(月額)/1TB
  • 「Plan 2」:¥1,090(月額)/1TB(5ユーザー以上で容量無制限)

※上記の価格はすべて2021年12月時点のものです。

まとめ

クラウドストレージを導入することで、ニューノーマル時代に即した柔軟かつセキュアなファイル共有基盤を構築できます。セキュリティポリシーやランニングコスト、費用対効果などを総合的な視点から検証し、自社の事業形態に適したクラウドストレージを選定してください。

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