GitHubはソースコードをオンライン上で公開・共有できるプラットフォームとして、世界で急速に利用が拡大しました。最近では、コーディング中にAIがコードの提案を行うGitHub Copilotも注目を集めており、今でもGitHubについて知ることはとても重要です。本記事では、Gitとの違いから利用することで得られるメリット、注意しなければならない危険性について解説します。またGitHubの主な機能についても3つ紹介するので、GitHubを知らない方はもちろん、知っている方もぜひ改めての参考にしてください。
GitHubとは
GitHub(ギットハブ)は、自ら作ったプログラミングのソースコードやデザインデータなどを誰でも保存・公開できるWebサービスです。2008年に公開された後まもなく、プログラマーの間で急速に人気が高まりました。
Gitとの違い
そもそもGitとはソースコードにおけるバージョン履歴などを管理するためのシステムです。
一方でGitHubは、Gitを活用できる支援サービスであり、導入するとプログラマーは豊富で便利な機能を利用できます。
GitHubの3つのメリット
GitHubがプログラマーなどソフトウェア開発者に強く支持されるようになった背景には、いくつかのメリットがあると考えられます。主に次のような3つのポイントです。
開発業務の効率化
通常、プログラマーが自分で最初からソースを書く場合、手間や時間が負担になりがちです。しかしGitHubを利用すれば、プログラミングのソースコードを簡単に共有でき、管理しやすくなります。また、1つのプログラムを複数人で担当する場合も、機能や変更内容ごとに作業スペースを分けられるのが魅力です。同時に複数の作業をこなせたり、全体の整合性もとれたりするようになります。
さらに、ソースコードをあえて非公開にしたい場合も、無料でプライベートリポジトリを使えるため、閲覧権限を制限でき安心です。
質の高いコードが作成可能
プログラマー同士が、互いにソースコードを見られるのも大きなメリットです。ローカル環境で作成したコードをほかのプログラマーに見せることで、アドバイスやヒントなどを含めたレビューの機会が増え、改善しやすくなります。また、開発の進捗を管理するプロジェクトマネージャーとも共有しやすくなり、遅滞なく、より質の高いコードを作成できます。
コミュニティが活発
GitHubを使いだしてみると、機能や使い方に不安を覚えたり質問したくなったりすることもあります。そういった場合に便利なのがGitHub Communityといったコミュニティ機能です。GitHubを使うプログラマーが気軽に質問や回答を記入できるのが特徴で、今や数千を超えるコミュニティがGitHub上で設けられています。GitHubのスキルをプログラマー同士が共有することで、誰でもよりスピーディにスキル育成を図れます。
複数世代のバージョン管理が可能
プログラミングコードを複数人の開発者で作成する場合、各人がそれぞれ作業するため、バージョンがばらけて業務効率が悪くなってしまいがちです。その点、GitHubならGitを元にしたサービスのため、複数のバージョン管理に長けています。つまり誰が、いつ、どのような目的で何を編集したのかをいつでも簡単にチェック可能です。また、万一バグが発生した際も迅速に修正でき、必要な機能の追加が可能です。作成されたソースコードを手間なく簡単にフィードバックできることも、人気が高まった理由と考えられます。
GitHubの危険性
GitHubには、プログラマーの負担を減らし、より質の高いコードを書けるようになるなど多くのメリットがあります。一方で、あらかじめ注意しておくべきリスクも理解しておくことが大切です。
プログラミングのソースコードをローカル環境で作成しているうちは、インターネット上に流出するおそれはそう高くありません。しかし、GitHubはクラウド上に自作のソースコードを公開する以上、情報漏洩のリスクには注意が必要です。実際に金融業界やITベンダーなどの企業において、社内システムで使うためのソースコードが一部流出したとも報道されています。
こうした情報漏洩の事例が増えてしまうと、GitHubが持つ強みを活かせません。そのため利用する各社には、自社での情報セキュリティ対策を見直し、GitHubのようなクラウドサービスを安心して使えるようにするための厳しい取り組みが求められています。
出典:日経クロステック/日経コンピュータ「GitHubへのソースコード流出問題が残した教訓、対策は多重下請け構造の管理にあり」
GitHubは何ができる? 主な機能を紹介
GitHubには、プログラマーやソフトウェア開発者を支えるための機能が豊富なため、うまく活用しない手はありません。ここではとくにおすすめの機能について、3つ紹介します。
フォーク
フォーク(fork)とは「派生」といった意味を持つ用語です。ソフトウェア開発の現場において、あるパッケージのソースコードから派生させ、ほかのソフトェアを開発する際に使われます。
GitHubでも同様に、あるリポジトリを元に、GitHub上へ新たなリポジトリをコピーできます。例えば、他人のリポジトリを使いたい場合、そのリポジトリに影響を与えることなく自分のGitHubアカウントのリポジトリへコピーし、プロジェクトを変更して自由に使えるようになります。
ただし、フォークをした場合はオリジナルのリポジトリ所有者に通知されます。同じプロジェクトチーム内であれば問題ありませんが、面識がない人のリポジトリでのフォークは慎重に行いましょう。ローカルへ単にコピーしたい場合はクローン(clone)といった機能を使うのもおすすめです。
プルリクエスト
プルリクエスト(pull request)とは、プログラマーがローカルのリポジトリで作成したソースコードを変更した際、そのことをほかのプログラマーへ通知できる機能を指します。
一般的に、本番環境へ適用するソースコードは、バグが発生しないようにレビューしてもらうことが大切です。しかし、現実は時間がなくレビューできずに本番へ移してしまうケースも多く、バグがあった場合、ユーザーへ不利益をもたらしてしまいます。
その点、プルリクエストを使うと、自分が変更したソースコードをほかの人のリポジトリへ取り込んでもらえるように通知されます。どこがどのように変更されたのかを見てもらえるほか、コメント機能も搭載されているため、バグ修正に向けて十分な機会を得られるのがメリットです。
マージ
3つめのマージは、先に紹介したプルリクエスト機能と密接に関係しています。プルリクエストを受け取ったプログラマーが「承認」すると自身のリポジトリへその変更箇所がマージ(統合)されます。逆に「拒否」するとマージされません。
GitHubでは、ある1つのプロジェクトから分岐させて自分だけの開発領域を作成でき、これをブランチと呼んでいます。マージは、複数の開発者が手がけた複数のブランチを統合させるための機能であり、チームで開発を進める際に欠かせない機能です。
最終的に複数のブランチを統合させることで、ソースコードの品質を維持できると考えられます。
まとめ
GitHubは、レビューなどを活発に行い、質の高いソースコードを作成できることなどがメリットです。ゼロから開発せずとも優れたコードの共有も可能で、効率的な開発環境を実現できます。
また、近年は世界中で作成されたコードから簡単に検索できる機能が新たに提供されました。コードベースに散在しているコードから必要とするコードを見つけやすくなったほか、コードビューの一般提供も始まっています。
さらに2022年には、AI開発者向けツールとしてGitHub Copilotがリリースされました。現在世界中で2万以上の組織で使われており、これからの時代に欠かせないAI開発を効率化すると共に、生産性向上にも期待されています。
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