生産性向上の取り組みの必要性・DXとの関連を解説

 2023.08.03  2024.03.22

企業が事業活動を通して地域や社会に貢献する上では利益の創出が不可欠であり、そのためには組織全体における生産性の向上が欠かせません。本記事では、国内で生産性の向上が求められている背景について解説します。生産性向上に向けた取り組みや押さえるべきポイントなども紹介しますので参考にしてください。

生産性向上の取り組みの必要性・DXとの関連を解説

デジタルトランスフォーメーション(DX)に 取り組むエンタープライズ企業の成功と挫折の現状

企業が生産性向上に取り組む必要性

国内で生産性の向上が重要視されている理由の一つは、少子高齢化に伴う労働力不足です。総務省統計局のデータによると、2023年6月1日時点における国内の総人口は約1億2,475万人(※1)となっており、2008年の約1億2,808万人(※2)を頂点に下降の一途を辿っています。さらに日本の高齢化率は29.1%(※3)と世界で最も高く、生産年齢人口の減少によって様々な分野で人材不足が深刻化しているのが現状です。労働力が減少する中で従来と同等以上の付加価値額を創出するためには、業務効率化による生産性の向上が求められます。

また、生産性の向上が必要とされる背景には「働き方改革関連法」が関わっています。2018年6月に「働き方改革関連法」が参院本会議で成立し、特別条項付き36協定でも超えられない時間外労働の罰則付き上限規制が設けられるようになりました。この規制は2019年4月より大企業を中心として順次施行され、2023年4月から中小企業でも適用されています。長時間労働の是正や時間外労働の規制が進む中で、これまで以上の労働生産性を確保するためには、オペレーションの効率化が必要です。

しかし、現状における国内の生産性は他国と比較して決して高いとはいえません。公益財団法人日本生産性本部の調査では、国内の1人あたりの労働生産性はOECD加盟38ヵ国中29位(※4)です。現代はグローバル化の進展と共に市場の競争性が国際レベルで激化しており、現状のままでは日本は国際市場に取り残される可能性があります。このように労働力不足や長時間労働の規制、国際競争力の低下といった社会的背景から、国内では生産性の向上が喫緊の経営課題となっているのです。

(※1)参照元:人口推計-2023年(令和5年)6月報-(p.1)|総務省統計局
(※2)参照元:統計トピックスNo.119 統計が語る平成のあゆみ(p.1)|総務省統計局
(※3)参照元:統計からみた我が国の高齢者(p.1)|総務省
(※4)参照元:労働生産性の国際比較2022(p.1)|公益財団法人日本生産性本部

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生産性向上に取り組む方法

業務の見直しを実施する

生産性とは経営リソースの投入量に対する産出量の比率であり、「産出量÷投入量=生産性」という数式で算出されます。したがって、生産性を高める上では、いかにして少ないリソースで従来と同等以上の成果を生み出すかが重要です。そのためには既存の業務プロセスを可視化し、無駄な作業の削減や非合理的な生産工程の改善に取り組まなくてはなりません。作業工程の能率化や作業時間の短縮化を図れば、従業員一人ひとりの労働生産性を向上させ、より少ないリソース投入量でこれまで以上の付加価値額を創出する一助となります。

一部の業務を外部委託する

より少ないリソースで従来と同等以上の成果を生み出すためには、ノンコア業務のアウトソーシングが必要です。事業活動において経営資源の配分は非常に重要な課題であり、高い成果の創出にあたっては人的資源・物的資源・資金・情報などの限りあるリソースを適切に運用しなくてはなりません。あらゆる業務は等しく重要ですが、直接的な利益に貢献しない業務領域も存在します。例えば事務作業やコールセンターといった業務領域を外部に委託すれば、空いたリソースを業績向上に直結するコア業務に集中できるため、生産性の向上が期待できます。

従業員のスキルを向上させる

組織全体の生産性を高めるためには、従業員一人ひとりのスキルアップによる労働生産性の向上が必要です。人材育成や社員研修の充実によって従業員のスキルが高まれば、同じ労働時間で従来よりも多くの付加価値額を創出可能です。2023年4月1日から人材開発支援助成金の要件が緩和されている(※5)ため、キャリアアップ助成金やIT導入補助金などと併せて活用することで、人材育成の効率化を図れます。

(※5)参照元:人材開発支援助成金|厚生労働省

IT活用やDXを推進する

生産性の向上を推進する上で重要となるのがDXの推進です。例えばマーケティング活動を効率化する「MA(Marketing Automation)」や営業活動を支援する「SFA(Sales Force Automation)」、あるいは定型業務をオートメーション化する「RPA(Robotic Process Automation)」などの活用により、特定の業務領域を省人化・自動化できます。そして、こうしたソリューションを導入するのみならず、デジタルシフトに基づく経営体制の変革を推進することで生産性の向上が実現します。

しかし、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX白書2023」によると、全社戦略に基づいてDXを推進している国内企業は54.2%となっており、米国の68.1%と比較するとわずかに遅れているのが実情です(※6)。その理由の一つとして国内企業は保守的な組織が多く、新しい挑戦や現状の変革を好まない傾向にあるためと推察されます。DXの実現にあたってはDX人材の採用や育成を推進すると共に、イノベーションを肯定的に受け入れる組織文化の醸成が必要です。

(※6)参照元:DX白書2023(p.9)|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

生産性向上の取り組みで押さえたいポイント

人材の配置も意識する

全ての人間はそれぞれが別個の特性を備えており、得意分野と苦手領域も人によって大きく異なります。それゆえ、従業員のパフォーマンスを最大化するためには、人材の長所と短所を把握して適切なポジションに配置しなくてはなりません。そこで重要課題となるのがタレントマネジメントの推進です。タレントマネジメントは従業員の能力や才能、性格的特性などを一元管理し、経営目標の実現に役立てる人材管理の手法です。従業員の特性を一元的に管理することで、従業員の長所と短所を踏まえた適切な人員配置が可能となります。

従業員の事情も考慮する

生産性の向上を目指す上で必ず押さえるべきポイントのひとつはワークライフバランスです。日本は滅私奉公の精神を美徳とする傾向にあり、いまなお休日出勤や長時間労働を是とする組織文化が残っている企業も少なからず存在します。しかし、このような組織体制は従業員の心身を疲弊させる要因となり、労働意欲や貢献意識の低下を招きます。企業が中長期的に発展していくためには長時間労働やマルチタスクを押し付けるのではなく、デジタルシフトや業務効率化によって生産性の向上を目指すことが大切です。

長期的な取り組みも想定する

生産性を大きく向上するためには既存の業務プロセスや生産工程の変革が欠かせません。しかし目的とするゴールが既存の経営体制と乖離しているほど、変革の実現に多くの時間を要します。とくにDXの実現によって経営改革を目指す場合、一朝一夕で目に見える成果を創出するのはほぼ不可能です。そのため、生産性の向上を目指す場合は「計画(Plan)」→「実行(Do)」→「評価(Check)」→「改善(Action)」のPDCAサイクルを回し続けると共に、長期的な取り組みを想定した計画を立案・策定する必要があります。

まとめ

国内で生産性の向上が求められている主な理由は、少子高齢化に伴う労働力不足と働き方改革への対応、そしてグローバル市場における競争力の強化です。しかし、日本は世界第三位のGDPを誇る経済大国でありながら、1人あたりにおける労働生産性はOECD加盟38ヵ国中29位(※4)となっています。このような現状を打破するためにはDXの推進による経営体制の抜本的な変革が欠かせません。CTCではDXの推進をサポートする「DXシェルパwithCTC®」を提供しています。デジタル技術の戦略的活用による経営改革を目指す企業は、以下のリンクより詳細をご確認ください。

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