近年、AIを活用してDXを推進する企業が増えてきた中で注目を集めているのが、2022年にOpenAIが公開したChatGPTです。本記事では、ChatGPTの概要から、その始め方や使い方、さらには日本語アプリでの利用方法まで解説します。
ChatGPTとは?
ChatGPT(チャットジーピーティー)とは、アメリカのOpenAI社が開発した革新的なAIチャットサービスです。GPTとは”Generative Pre-trained Transformer:生成可能な事前学習済み変換器”の略称を意味します。
ChatGPTの大きな特徴は、ユーザーの投げかける言葉に対して、とても自然に応答できる点です。ChatGPTは、Generative AI(生成AI)の一種として、膨大な量のテキストデータを解析し、その結果をもとに会話を生成する能力を持っています。
ChatGPTの仕組み
ChatGPTは、AIの大規模言語モデルとして知られるLLM(Large Language Models)を採用しています。このモデルは大量のテキストデータを自然言語処理アルゴリズムによって分析することで、人間と同じように自然な文章を生成可能です。
さらに、この技術にRLHF(Reinforcement Learning from Human Feedback:人間のフィードバックによる強化学習)を組み合わせることで、さらに高度な会話能力を持つことが実現しています。2023年3月には、有料ながら、これまで以上に高性能なバージョンであるGPT-4を利用可能になりました。なお、従来のバージョンであるGPT-3.5は無料で利用できます。
ChatGPTでできること
ChatGPTはその高度な自然言語処理技術を活かして、以下のように多種多様なタスクをこなせます。
- 質問への回答
多種多様な質問に対して自然な言葉で回答を提供できます。「~に関するメールの文面を考えて」など、文章の下書きを作成してもらうことも可能です。 - 文章の添削、構成
既存の文章の添削も依頼できます。さらには新規に文章を作成する際、目次の作成など文章全体の構成に関する提案を受けることも可能です。 - 外国語の翻訳
複数の言語に対応しているため、外国語の翻訳もこなせます。翻訳精度を向上させるには、どのような文章なのか概要を伝えておくのがポイントです。 - コードの記述、チェック
指定したプログラミング言語でコードを記述したり、既存のコードの問題点をチェックしたりすることもできます。
ChatGPTには無料版と有料版がある
ChatGPTには、機能制限がある無料版と、ChatGPT Plusという有料版があります。有料版はサブスクリプションサービスとして提供されており、最新バージョンのGPT-4をフルに利用可能です。また、有料版では新機能を優先的に利用できるほか、アクセスが混み合う時間でも、レスポンスを素早く受けられるなどの利点もあります。有料版の料金設定は、ブラウザ版が月額20ドル、日本語アプリ版が月額3,000円です(2023年8月時点)。
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ブラウザ版ChatGPTの始め方・使い方
この章では、ブラウザ版ChatGPTの始め方と使い方をステップごとに紹介します。
1. ブラウザ版の始め方
ブラウザ版ChatGPTを利用するための手順は非常にシンプルです。以下の流れで簡単にアカウントを作成できます。
- OpenAI社のChatGPT公式サイトへ接続します。
- 画面上に表示される[Sign up]をクリックし、登録するメールアドレスやパスワード情報の入力をしてください。
- 情報入力が完了すると、登録したメールアドレス宛に認証用のメールが送信されるので確認してください。
- メール内のリンクをクリックすると、氏名や携帯電話番号など、個人情報の入力画面が表示されます。その後、登録した携帯電話番号宛てに届いた認証コードを入力してください。
上記の4ステップで、アカウントの作成(サインアップ)は完了です。
2. ブラウザ版の使い方
ChatGPTのブラウザ版は直感的に操作できるのが特徴です。
ChatGPTへの要望は、画面下部にある[Send a message]と表示されたボックスにメッセージを入力して行います。基本的にはLINEや他のチャットアプリへの入力と同じ要領です。新しいトピックで会話したい場合は、画面左上の[+ New chat]というボタンをクリックすれば、新しいスレッドを開始できます。
ChatGPTの画面は英語で表示されますが、チャットのやりとり自体は日本語でできるのでご安心ください。基本的にChatGPTは質問した言語と同じ言語で応答します。
日本語アプリ版ChatGPTの始め方・使い方
アプリ版ChatGPTは、お手持ちのスマートフォンなどで簡単に使えるのが特徴です。以下で始め方と使い方を解説します。
1. アプリ版の始め方
最初はアプリをダウンロードするところからです。iOS版はApp Store、Android版はGoogle Playにアクセスし、スマートフォンやタブレットにChatGPTアプリをインストールしてください。
登録手続きの流れは、基本的にブラウザ版と同じです。メールアドレスなどの必要情報を入力し、スマートフォンを利用した二重認証を済ませることでアプリを利用できるようになります。
2. アプリ版の使い方
利用方法に関しても、ブラウザ版とほとんど同じです。アプリ画面下部に表示される[Message]のボックスにテキストを入力すると、ChatGPTにメッセージを送れます。新しいスレッドは画面上部の三点マークのメニューアイコンをタップし、[New chat]を選択することで作成可能です。
ブラウザ版と大きく異なる特徴として、アプリ版ChatGPTでは、テキスト入力だけでなく、音声入力機能(録音送信)もサポートされている点が挙げられます。音声入力は[Message]ボックスの波形のアイコンをタップすることで起動可能です。最初だけマイクへのアクセス許可を求められるため、[OK]を選択してください。
録音が開始された後、メッセージを口頭で述べます。録音終了後に[Tap to stop recording]をタップすると伝えた内容がテキストで表示されるので、矢印のアイコンをタップして質問を送信するという流れです。
ChatGPT利用時の注意点
ChatGPTは、非常に便利なツールですが、その利用にはいくつかの注意も必要です。
【OpenAI社による公式の注意点】
まず、OpenAI社はChatGPTが誤った情報を生成する場合もあることを認めています。また、ChatGPTは違法行為などにつながるような、不適切な要求に関しては回答を拒否するように訓練されていますが、質問や要求の仕方によっては、有害な内容や偏見のある内容を生成することもあります。ChatGPTの回答は多くの場合、一見もっともらしく見えるだけに、こうした問題は非常に厄介です。
【その他の注意点】
ChatGPTをビジネスで利用する際の注意点の一つに、機密情報の取り扱いがあります。ChatGPTに入力した情報は、機械学習のために利用され、その後の回答に反映されてしまう可能性があります。情報漏洩を避けるためには、オプトアウト申請を行い、入力内容の機械学習への利用を停止しましょう。また、API 経由でChatGPT を使う場合も入力内容が機械学習に利用されません。自社の機密情報が学習されてしまわないように対策を講じましょう。
また、ChatGPTが生成するテキストは、既存の様々なデータを参照・引用して生成されるものです。そのため、生成された内容をそのまま使用すると、無自覚に著作権を侵害してしまう可能性があります。
ChatGPTは非常に進化したAIですが、全ての作業を任せきりにすることはできません。「機密情報は入力しない」「情報を鵜呑みにしない」など、ユーザー側の自制や確認作業が必要です。
まとめ
ChatGPTには不完全な部分もありますが、情報収集やアイデア出し、文章の作成やプログラミングなど、多様な用途に活用できます。本記事で解説した注意点を考慮しつつ、積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
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