再生可能エネルギーとは?
資源の種類やメリット、今後注目のビジネスについて解説

 2024.03.12  2024.03.28

自然界に存在し、発電に際して排出されるCO2の総量が非常に少ない再生可能エネルギーが、カーボンニュートラル実現にむけて注目されています。本記事では、再生可能エネルギーの種類、利用する際のメリット・デメリットについて解説します。また、再生可能エネルギー発電のために立ち上げられたアグリゲーションビジネスの基礎知識をまとめました。

再生可能エネルギーとは? 資源の種類やメリット、今後注目のビジネスについて解説

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再生可能エネルギー (再エネ)とは?

再生可能エネルギー(再エネ)とは、自然界につねに存在するエネルギーです。エネルギー供給構造高度化法では「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」と定義されています。

そして政令では「太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱・大気中の熱その他の自然界に存する熱・バイオマス」と定められています。
再生可能エネルギーは、エネルギーが永久に枯渇せず、二酸化炭素を排出しないことが大きな特徴です。この点が、化石や石炭など、資源に限りのある化石燃料と大きく異なっています。

引用元:e-Gov法令検索|エネルギー供給事業者によるエネルギー源の環境適合利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(エネルギー供給構造高度化法)第2条第3項

参照元:e-Gov法令検索|エネルギー供給事業者によるエネルギー源の環境適合利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律施行令 第4条

参照元:資源エネルギー庁|再生可能エネルギーとは

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再生可能エネルギーの必要性

再生可能エネルギーは日本特有のエネルギー事情だけでなく、地球環境保全の観点からも必要とされています。

エネルギー自給率を上げるため

資源エネルギー庁によれば、日本が使用しているエネルギーの約80%は石油や石炭、天然ガスといった化石燃料です。「日本のエネルギー 2022年度版」によると、化石燃料の割合は83.2%(2021年度)に上りました。また、多くの化石燃料は海外からの輸入に頼っており、エネルギー自給率は11.3%(2020年度)と、極めて低い状況です。そのため、エネルギー供給は国際情勢の影響を受けやすく、紛争などによって輸入がストップすれば、エネルギー不足に陥るリスクを常に抱えています。
エネルギー需要は経済成長と比例して増加するので、今後、途上国の経済が成長することで、エネルギー消費は世界的に増えていきます。それゆえ、安定したエネルギー供給は日本にとって大きな課題です。
参照元:資源エネルギー庁|「日本のエネルギー 2022年度版」

温室効果ガス(CO2)削減のため

2016年のパリ協定において、温室効果ガスの排出量削減が求められました。太陽光、風力、水力などの自然資源がエネルギー源で、発電によるCO2排出が極めて少ない再生可能エネルギーは、CO2削減に非常に効果的です。そのため、世界各国で再生可能エネルギーの利用が進められています。日本でも2030年までに再生可能エネルギー比率を全体の22~23%程度まで押し上げること、2050年にはカーボンニュートラル、つまり脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。

参照元:資源エネルギー庁|2030年度におけるエネルギー需給の見通し(関連資料)

再生可能エネルギーの種類

再生可能エネルギーの種類と、それを用いた発電方法について解説します。多くは、自然由来のエネルギーを使ってタービンを回すなどして発電します。

(1)太陽光発電…太陽の光エネルギーを太陽電池によって電気に変換します。
(2)風力発電…風で風車を回し、その動力を発電機に伝えて電気を発生させます。
(3)水力発電…水の力を利用して水車を回し、電気を発生させます。
(4)地熱発電…地中深くに浸透した雨水が、マグマで加熱されてできた蒸気を利用して発電します。
(5)太陽熱利用…太陽光を反射鏡に当てて集めることで変換した熱を利用します。
(6)大気中の熱や、その他の自然界に存在する熱の利用…地中熱や雪氷熱、温度差熱を利用します。
(7)バイオマス(動植物に起因する有機物のうち化石燃料を除いたもの)…バイオマスを燃焼、もしくはガス化することで発電・利用します。燃焼によって発生するCO2は、大気中の二酸化炭素濃度上昇に影響しないレベルとされています。

再生可能エネルギーを使用するメリット・デメリット

カーボンニュートラル実現に向けて、大きな役割が期待される再生可能エネルギーですが、実際に利用する際にはメリット・デメリットを把握しておく必要があります。

メリット

再生エネルギーを利用するメリットは、主に以下の8つがあげられます。

(1) 永続的なエネルギー供給源の確保
(2) 温室効果ガスの排出減
(3) エネルギー調達が容易
(4) 有害物質や廃棄物の削減
(5) 発電施設が簡易的でコストがかからずメンテナンス性が高い
(6) エネルギー源の分散配置によるリスク削減
(7)災害発生時のエネルギー供給源
(8) 新たな発電産業の促進

再生可能エネルギーの最大のメリットは、枯渇しないことです。石油などの化石燃料は、掘り続ければいずれは枯れてしまいますが、再生可能エネルギーにはその心配がありません。

デメリット

多くのメリットをもつ再生可能エネルギーですが、以下のようなデメリットもあります。

(1) 天候による発電の不安定性
(2) 発電コストが高い
(3) 別事業者との紛争リスク(例: 地熱発電業と温泉観光業)

こうしたデメリットを克服するため、技術開発や新しい制度の整備などが進められています。

今後注目:再生可能エネルギー関連のビジネス

再生可能エネルギー利用増加に着目したビジネスが生まれています。また、それらをサポートする技術も開発されています。

アグリゲーションビジネス

再生可能エネルギーのデメリットのひとつは、天候などに影響されやすいことです。その課題を解決するには、電力を安定的に供給するためのシステム構築が欠かせません。
再生可能エネルギーを利用した電力を束ね、効率的かつ安定的に需給バランスを取ることを目指すのがアグリゲーションビジネスです。アグリゲーション(aggregation)の意味は「集合」や「集合体」です。

Internet of Things(IoT)などを使って多数の再生可能エネルギー関連のリソースを管理し、試算した発電量と実際の発電量の過不足を解消させたり、電力の市場取引を行ったりするのが、アグリゲーターと呼ばれる事業者です。リソースは、供給する側(発電側)である再エネアグリゲーションと、需要側であるDER(分散型)アグリゲーションに分けられます。そして、それぞれのアグリゲーターが中心となって、需要と供給の管理を行います。

再エネアグリゲーターは、多数の再エネ発電事業者をひとつのグループにすることで発電量のばらつきをなくし、DERアグリゲーターは、自家発電機や電気自動車(EV)、蓄電池などを持つ電力ユーザーを束ねて、需要の増減をコントロールします。   
とりわけEVの電力需要は、充電のタイミングや速度、季節などによっても変動するため、そうした特性を踏まえたアグリゲーションを行わねばなりません。具体的には、充電ネットワークの共通規格化や複数の電気料金メニューの用意などによる電力需要の予測可能化、EV充電マネジメントサービスによる電力の需給調整が考えられます。

アグリゲーターがコントロールすることで、供給が需要を上回っている時はDERの蓄電池に電力をためる、供給が足りない時は蓄電池の電気を送電するといったことが可能です。
このように、アグリゲーションビジネスは、アグリゲーターが電力の需給を管理し、市場の価格差を踏まえた電源の融通をすることで差益を生み出すビジネスモデルです。また、需給の調整を行うことにより送配電事業者から報酬を得られるケースもあります。いずれも再生可能エネルギー利用の最適化につながり、かつ天候に大きく左右されません。

また、さらなる効率化を目指して、電力の需給管理及び取引を支援するクラウドサービスなどの開発も進められています。例えば、NECが提供する「NEC Energy Resource Aggregationクラウドサービス」は、AIを用いて分散エネルギーリソースの統合・制御や調整を行います。あるいは伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)では、再生可能エネルギーの発電量予測や需給管理を支援するクラウド基盤「ReRAS」を開発しました。これは、気象予測データや太陽光発電、風力発電などの予実データを活用した予測モデルにより、発電量の予測を行うシステムです。こうしたサービスの普及により、アグリゲーションのさらなる容易化が進むものと見られます。

発電量シミュレーション

再エネ事業者が電気を市場で売るためには、精密な発電計画を立てなければなりません。そのため、高精度な発電量予測シミュレーションが必要です。
例えば、天候による影響を受けやすい風力発電では、蓄積された過去の気象データなどをベースに、出力予測システムが開発されました。今後、電力全体に占める再生可能エネルギーの割合が増えるほど、このような予測システムの活用が進むとが予想されます。

まとめ

自然界に常に存在する資源で、発電に際してCO2を発生させない再生可能エネルギーは、今後ますます利用量が増えると見られています。しかし天候の影響を受けやすいため、新たな技術やサービスの開発と、安定的に電力を供給できるシステムの構築が必要です。

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