生成AIがデジタルワークプレイスに与える影響とは?
活用事例や注意点を紹介

 2024.03.25  デジタルビジネスシェルパ

現在、生成AIは幅広いシーンでの活躍が期待されています。デジタルワークプレイスに生成AIを導入すると、様々なメリットが得られます。本記事では、デジタルワークプレイスに生成AIを導入した場合の活用事例や、活用する際の注意点を解説します。

生成AIがデジタルワークプレイスに与える影響とは? 活用事例や注意点を紹介

Digital Transformation Next ~シリコンバレー発DXレポート~(CTC DX Days 2021 chapter2 講演資料)

生成AIはデジタルワークプレイスを革新する技術

デジタルワークプレイスは、テクノロジーを活用して作り出した、いつでもどこでも働ける仕事空間のことです。生成AIは、デジタルワークプレイスの構築・定着を加速させる革新技術の一つとして注目されています。
ガートナージャパン(株)が発表した「日本におけるデジタル・ワークプレース・イノベーションのハイプ・サイクル:2023年」(※)によると、生成AIは2023年8月時点でピーク期にある技術とされます。生成AIは登場から2~5年で成熟すると考えられており、今後はピーク期を過ぎ、デジタルワークプレイスの変化と共に重要性が認められていくと予想されています。デジタルワークプレイスの構築やそれを前提としたDXの推進においては、生成AIの導入も検討することをおすすめします。

※ガートナージャパン(株)が定義するハイプ・サイクルとは、ある技術(イノベーション)について、注目され始める黎明期から、過度にもてはやされるピーク期、関心を得られない幻滅期を経たのち、市場での役割・重要性が理解される啓発期など、成熟までの過程を図示化したものです。

参照元:Gartner|日本におけるデジタル・ワークプレース・イノベーションのハイプ・サイクル:2023年

生成AIとは

生成AI(ジェネレーティブAI)とは、学習したデータをもとに新しいコンテンツを作り出すAIのことです。主に文章、音楽、画像、動画などのコンテンツを新たに生成できます。例えば、対話形式で文章を生成するChatGPTが、代表的な生成AIとして知られています。
従来のAIは、数値やテキストなどの学習データから、入力されたデータの識別や予測をする技術であり、メールのフィルタリング、画像の識別、製品の品質判定などの用途に用いられてきました。作業の自動化に活用できるため、DXでも業務効率化に役立つとされています。
一方、生成AIはAI自身が学習・データ分析を行い、学習で得られた法則やパターンを用いて新しいコンテンツを生成する技術です。生成AIの誕生によって、ビッグデータをもとに少ない手間で新しいものを生み出すことが可能になり、クリエイティブな業務のサポートやビジネスプロセスの最適化など、幅広い業務の効率化が実現します。
その他、生成AIに関する記事は以下の関連記事で詳しく解説しています。

関連記事:ジェネレーティブAIとは? できることや懸念点、参考にしたい取組み事例について解説

デジタルワークプレイスとは

デジタルワークプレイスとは、デジタルツールを用いて構築した、いつでもどこでも日常の業務を行える、デジタルとフィジカル(現実)の利点を生かした仕事空間のことです。構築には、クラウドストレージ、Web会議ツール、ワークフローシステム、仮想オフィスなど様々なデジタルツールを用いて、ネットワーク上で仕事ができる環境を整えることが重要です。
時間や場所に縛られない働き方ができ、クラウド上で作業ができるため業務効率化が実現するなど、デジタルワークプレイスの活用によって様々なメリットが得られます。コロナ禍におけるリモートワークの普及や働き方改革の推進など、働き方の多様化が進む中、現在では業務効率を高める方法としてデジタルワークプレイスが注目されています。

関連記事:デジタルワークスペースとは?注目される理由や必要なシステムを紹介

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【活用事例】デジタルワークプレイスへの生成AIの導入

デジタルワークプレイスでの生成AIの活用方法には、以下のようなものが挙げられます。

  • 業務支援
  • 研修支援
  • 課題提示
  • 会議支援

例に挙げた活用方法以外にも幅広いシーンでの利用が見込めるので、自社に合わせた様々な活用方法を検討しましょう。

業務支援

デジタルワークプレイスに生成AIを導入することで、リモートワークによって低下した業務効率を補うことができます。単純作業の自動化、質問や要望に対するスピーディな情報提供などの機能で、作業の負担軽減が見込めます。
資料作成といったクリエイティブな作業も、生成AIによって部分的に自動化できるため、作業時間の削減が可能です。リモートワーク時に生産性が低下しがちなデジタルワークプレイスでも、業務環境の最適化によって、効率的に業務を行える環境が実現します。

研修支援

デジタルワークプレイスを用いてハイブリッドワークを行う状況においては、研修を非対面で行う機会も増加します。従来では、非対面の研修にはeラーニングなどを用いましたが、従業員個人のレベルに合った研修を行うことが困難でした。
生成AIを活用した研修を取り入れると、AIのデータ分析による研修内容の提案を受けられるので、個人の学習レベルに合わせて研修が行えます。

課題提示

非対面で仕事をしている場合、従業員の感情などを読み取るのが難しいことがあります。コミュニケーションが不十分では、業務上の連絡やストレスチェックを適切に行うことが困難です。さらに、上司からの適切なフィードバックを受ける機会が減少すると、従業員が自分の成長状況を把握(課題の把握)しにくくなることもあります。
そこで、デジタルワークプレイスで生成AIのチャットボットを活用すると、従業員がAIとの会話を通じて自身を客観的に見直す機会を得られるので、課題・問題の把握が可能です。

会議支援

生成AIの導入は、会議やミーティングの自動録画・議事録の作成にも有効です。生成AIを使用すると、音声データの文字起こしから文章の要約まで、手間をかけることなく、ほぼ自動で行えます。
海外の相手とミーティングを行う際には、AIによる自動翻訳も有効です。AI技術によって、双方の言葉を直感的に理解しやすい母国語に翻訳できるので、円滑に会議を進められます。

顧客対応支援

生成AIを用いたAIチャットボットであれば、顧客からの製品に関する問い合わせ対応なども可能です。
生成AIが情報を検索したり、顧客への対話に適した言葉を生成したりできるため、従業員による対応の手間を削減できます。さらに、比較的単純な問い合わせであればAIチャットボットの自動応答に任せられます。オペレータが複雑な問い合わせへの対応に時間をかけられるため、顧客対応のレベルを維持しながら効率的に業務を行えます。

デジタルワークプレイスに生成AIを導入する場合の注意点

デジタルワークプレイスに生成AIを導入する場合、全ての業務を自動化すると以下のような問題が生じるケースもあります。

  • 著作権などの権利侵害のリスク
  • 情報漏洩などのセキュリティリスク
  • 回答に虚偽情報が含まれるリスク

著作権などの権利侵害のリスク

生成AIを活用する場合、著作権、商標権、意匠権などの権利を侵害するリスクがあります。生成AIは、実際にある画像、文章などのデータを学習して、データをもとにコンテンツを作成します。そのため、生成AIが作り出したコンテンツが実在する作品に酷似している場合などでは権利侵害につながるリスクがあります。

情報漏洩などのセキュリティリスク

生成AIの使用時には、セキュリティリスクにも気を付けなければなりません。生成AIを使用する際に入力したデータは、AIの学習データに利用される場合があります。企業の機密情報を入力するとほかのユーザーに重要な情報が漏れてしまう恐れがあるため、使用時には機密情報を入力しないなどの対策を行うことが求められます。

回答に虚偽情報が含まれるリスク

生成AIを使用する場合、AIが作った文章などのコンテンツに誤った情報が含まれるリスクがあります。
生成AIが文章を作成する際は、多数の文章のパターンから次に現れる確率の高い単語をつなげているに過ぎません。そのため、学習データに含まれる誤情報やデータの不足などから、誤った内容を文章に組み入れる可能性があります。このように、AIが事実と異なる情報を生成する現象は、幻覚を意味するハルシネーションと呼ばれます。
複雑な内容や重要度の高い文書を作成する際には、必ず人の手で文章の正誤や根拠の有無を確認することが重要です。

まとめ

生成AIは、デジタルワークプレイスにおいて様々な業務をサポートする重要な技術です。AIの導入によって、単純な作業の自動化、個人のレベルに合わせた研修の実施、会議の際の議事録作成、顧客対応サポートなど、幅広い業務を効率化できます。
ただし、生成AIの導入時にはリスクもあります。著作権を侵害していないか、機密情報が漏洩する恐れはないか、生成した文章に虚偽が含まれていないかなどの点で、注意が必要です。

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