シンクライアント構築の手引き|導入メリットやおすすめ方式を紹介

 2021.12.03  2022.08.31

テレワークの導入が進む中、社員がリモートで業務を行う環境として、「シンクライアント」が注目されています。本記事では、シンクライアントの概要やメリット・デメリット、シンクライアントの構築の種類についてご紹介します。シンクライアントの導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

シンクライアントとは?

「シンクライアント」とは、クライアント側端末はごく限られた機能・性能しか持たず、サーバー側で必要な処理を行う運用法です。シンクライアントという単語は、「薄い」「少ない」という意味の英単語「thin(シン)」と「client(クライアント)」から成り立っています。これに対し、十分な機能・性能を持ち、必要な処理を自分で行う端末が「ファットクライアント(fat client)」です。

シンクライアントを構築する目的

シンクライアントが登場したのは、クライアント・サーバーシステムが普及した頃です。社員一人ひとりにクライアントPCが支給されるようになり、その管理負担が大きくなりました。そこで、一括で管理しやすいシンクライアントが考案されたわけです。

昨今では、限られた機能・性能しか持たないクライアントを扱うシンクライアントの特徴が見直されています。テレワークを採用する際、シンクライアントなら端末の一括管理が可能になるうえ、社員の環境にデータが保存されないためです。万が一、クライアント端末が紛失しても、データが漏えいすることはありません。

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シンクライアントのメリット

テレワークの採用が進む中で、シンクライアントを採用する企業が増えています。それでは、シンクライアントにはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく解説します。

セキュリティの確保がしやすい

シンクライアントでは、業務で使うデータはすべてサーバーに保存され、社員のPCには残りません。そのため、万一PCを紛失してしまったり、ウイルスに感染したりしても、情報が漏えいするリスクを軽減できるわけです。

また、カフェなど出先で公衆Wi-Fiを活用するときも、セキュリティを保持するためシンクライアントの運用法が役立ちます。シンクライアントと接続先となるサーバー間は、SSLにて暗号化されるためです。公衆Wi-Fiの利用時、通信内容の盗聴を予防できます。

管理コストの低減

シンクライアントでない場合、社員のPCなどでOSやアプリケーションの管理をしなければなりません。端末を配布する社員数が少なければ問題ないかもしれませんが、その数が増えると管理負担も大幅に増します。OSアップデートのアプリケーションのインストールなど、社員の端末単位で管理作業をしなければならないためです。

一方、シンクライアントであれば、クライアント端末の環境を一元的に管理できます。シンクライアントの場合、社員の端末の機能は限られるため、個別に管理する必要がないのです。社員が許可していないソフトウェアをインストールしてしまい、トラブルになるといったこともありません。

事業の継続性が高い

たとえ大地震やパンデミックなどが発生しても、シンクライアントならデータセンターで運用中のサーバーさえ稼働していれば業務を継続できます。サーバー上に業務で使うアプリケーションやデータがすべて保存されているためです。

また、手元の端末が壊れた場合も、新しい端末に切り替えるだけですぐに業務を再開できます。ファットクライアントのように、端末が壊れることで端末に保存したアプリやデータが失われることもありません。

ネットワーク環境があれば場所を選ばない

シンクライアントは、ネットワーク環境がありサーバーに接続さえできれば、どこでも利用可能です。外出先か自宅かを問わず業務を行えるため、オフィスの外で業務できる環境が不可欠なテレワークにも適しています。

シンクライアントのデメリット

シンクライアントには複数のデメリットがあり、採用する際はこれらのデメリットを解決・対策することが不可欠です。以下、具体的なデメリットについて見ていきましょう。

導入コストが高くなる

シンクライアントを採用する場合、社員のPCや接続先となるサーバー環境も不可欠です。サーバーは社員数に応じて大容量の保存領域を確保する必要があるのに加え、障害を防ぐため二重化の仕組みなども求められます。これらの点から、社員にファットクライアントを配布するより、導入コストが高くなるケースが大半です。

導入後もハードウェアを追加したり、運用の負荷が高かったりして、想定以上のコストがかかることもあります。このことからシンクライアントを採用する際は、十分な予算を準備しておく必要があるのです。

高品質のネットワーク環境が必須になる

ネットワーク環境があれば使えると述べましたが、これは裏を返すとネットワーク環境がなければ使えないということでもあります。

さらに、シンクライアントを実現するためのネットワーク環境は、その品質も重要です。ネットワークの品質が悪いと、画面が表示されるのに時間がかかるなどして、快適に業務を行えません。その結果、社員の不満を招くことにもなります。

また、データ転送量が多くなる傾向にあるので、モバイル環境で接続するユーザーは特に注意が必要です。決められたデータ転送量を使い切り、速度制限に追い込まれる可能性もあります。モバイル環境でネットワークが不安定であれば、当然レスポンスが悪くなり業務に支障をきたす可能性もあるので、注意しなくてはなりません。

シンクライアント構築の種類について

シンクライアントを構築する際の種類として、「ネットワークブート方式」と「画面転送方式」があります。シンクライアントを採用する場合、いずれか自社に合う方を選ぶことが必要です。以下、それぞれの概要をご紹介します。

ネットワークブート方式

クライアントを起動(ブート)する際、サーバー上に保存されたイメージファイルをダウンロードし、OSを実行するタイプです。ネットワークブート方式は、起動するたびに大容量のデータをダウンロードしなくてはならないため、起動に時間がかかります。

また、大容量のダウンロードを可能とする高品質なネットワークも不可欠です。その一方、ダウンロードさえ済めばファットクライアントと同様に利用できます。

画面転送方式

アプリケーション実行などをするサーバー画面を、社員のPCへ転送し表示する方式です。イメージファイルではなく画面の転送となることから、ネットワークブート方式のようにネットワークに負荷をかけることはありません。

また、社員PCではキーボード・マウスの操作指示のみ行うため、デバイスに高い処理性能は求められません。そのため、シンクライアントを採用する際の主流とされています。

なお、画面転送方式はさらに3つの方式に分類できます。

サーバーベース方式

複数の社員が同じサーバー・デスクトップ環境を一緒に扱う方式です。サーバーベース側では、サーバー側に高い性能は求められません。ただし、デスクトップ環境は社員単位で変えられないため、利便性では劣ります。

ブレードPC型

CPUやメモリ、ハードディスクを集約した「ブレードPC」を社員単位で用意するタイプです。CADをはじめとした負荷の大きな処理にも耐える反面、コストや運用の負荷が膨大化します。

VDI型

各ユーザーが、サーバーに保存された仮想的なデスクトップ環境を採用する方式です。1台のサーバーに複数の仮想デスクトップ環境が保存されており、社員単位でデスクトップ環境をカスタマイズできます。

「VDI」と「DaaS」のどちらを選ぶ?

サーバー上の仮想デスクトップ環境をクライアントに利用させる方法として、VDIとよく比較されるのが「DaaS」です。VDIは自社サーバーで環境を用意するのに対し、DaaSでは事業者が用意したサーバーの環境を採用します。

DaaSは導入コストを抑えられるうえ、ユーザー数に応じて容易にリソースを拡張できる点がメリットです。一方、VDIは自由にカスタマイズが可能で、自社独自の方法で管理できるため信頼性に優れます。両者はそれぞれ異なるメリットを持ち、どちらがより優れるとも一概にはいえないため、自社に合うほうを選ぶのがよいでしょう。

まとめ

シンクライアントとは、サーバー側で業務に必要な処理を実行し、クライアント側がその結果を採用する運用法のことです。社員の端末には、高い性能は求められません。シンクライアントでは社員のPCにデータが保存されないため、セキュリティが向上します。そのほか、社員が扱う端末の管理が簡単になるなどのメリットもあります。

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