DApps(ダップス)とは? 仕組みやメリット・デメリットを解説

 2023.09.21  デジタルビジネスシェルパ

近年、ブロックチェーン技術の普及に伴ってDAppsというアプリケーション形態が注目を集めています。しかし、DAppsとは何なのか、その仕組みやメリット、デメリットについて詳しく把握していない方もまだ多いのではないでしょうか。そこで本記事では、DAppsの基本知識について分かりやすく解説します。

DApps(ダップス)とは? 仕組みやメリット・デメリットを解説

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DApps(ダップス)とは?

DApps(ダップス)とは、Decentralized Applicationsの略語で、日本語では分散型アプリケーションと訳されます。一般的なWebアプリケーションやモバイルアプリケーションは、特定のサーバ上で中央集権的な仕組みで運用されますが、DAppsはその名の通り、複数のノード上に分散して動作するのが大きな特徴です。詳しくは後述しますが、DAppsはブロックチェーン技術を活用することで、こうした新しい形のアプリケーションを実現しています。

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DAppsの仕組み・特徴

ブロックチェーン技術を基盤に置くDAppsは、従来のアプリケーションとは多くの点で異なっています。そこで以下では、ブロックチェーン技術の基本知識も含めて、DAppsの仕組みや特徴について解説します。

ブロックチェーン技術を使用

先述の通り、DAppsの核心となるのはブロックチェーン技術です。ブロックチェーンとは、データを複数のまとまり(ブロック)に分割し、それぞれのブロックを連鎖的に繋げて保存する技術を指します。

ブロックチェーンに含まれる技術の1つに、スマートコントラクトという仕組みがありますが、DAppsではこれを応用して開発されています。スマートコントラクトとは、条件を満たすとブロックチェーン上で既定の行動を自動的に実行する仕組みです。

ブロックチェーンでは、この仕組みによって、銀行などの中央集権的な管理者や仲介業者を挟まずとも、仮想通貨取引をはじめとする様々なプロセスを契約通りに実行することを可能にしています。

非中央集権型のシステム

ブロックチェーン技術に基づくDAppsのもう1つの大きな特徴は、非中央集権型のシステムであることです。通常のアプリケーションは特定のサーバ上で中央集権的に管理運用されますが、DAppsは違います。

DAppsは同等の権限を持つ複数のノード上に展開されているので、たとえ1つのノードがダウンしても他のノードがその役割を担います。また、ブロックチェーンの特性として、後続のブロックが以前のブロックのハッシュ値を含んでいるため、改竄が非常に困難であることが挙げられます。この特性はDappsにも共通しているので、改竄やシステム障害への耐性が非常に高いです。

幅広い分野で使用可能

その応用範囲の広さもDAppsの大きな特徴です。金融業界でのDeFi(分散型金融)はその最たる例で、既存の金融システムに依存せずに、仮想通貨による金融取引などを行えます。

また、ゲーム業界でもPlay to Earn型のNFTゲームが出現しており、これによってゲーム内のアイテムやキャラクターが実際に経済的価値を持つようになっています。さらに、スマートコントラクトによる保険の自動処理、ブロックチェーン上での個人情報(デジタルID)の管理なども、DAppsがその力を発揮する分野です。

オープンソース

DAppsの多くはオープンソースで開発されています。オープンソースとは、誰でもその仕組みを確認、利用できるように一般に公開されているプログラムコードのことです。

そのため、DAppsは多くの場合、1から自力で開発する必要がなく、既存の良いコンポーネントやソリューションを再利用できます。これは開発時間の短縮やコスト削減にもつながり、新しいサービスやアプリケーションを素早く市場へ投入できるようにする大きな利点です。

DAppsのメリット

DAppsにはその独特な構造と仕組みからくる数々のメリットがあります。ここでは、特に注目すべき3つのメリットを解説します。

個人情報が漏洩しにくい

DAppsの大きなメリットは、個人情報を強力に保護できることです。DAppsではブロックチェーン技術によって、データは複数のノードに分散して保存されます。そのため、従来の中央集権的な仕組みとは異なり、単一のサーバへの攻撃によって大量の個人情報が流出することはありません。また、開発元に個人情報がわたることもないので、自分の情報が企業によって不透明な仕方で利用されることも避けられます。このような分散管理によるセキュリティの高さは、特に個人情報を扱うサービスにとって非常に価値のある特性です。

データの改竄・不正が起きにくい

DAppsの非中央集権型の設計は、データの改竄をはじめとする不正行為が発生する可能性を大幅に低減させます。ブロックチェーン技術を用いたDAppsのデータをハッキングして改竄するには、複数のノードに分散されたデータを同時に全て書き換えなければなりません。これは現実的には非常に困難です。また、DAppsは中央管理者を置かず、多数の参加者によってデータの真正性を監視する形を取るので、現在のSNSのような運営元による検閲行為すら避けられます。したがって、DAppsに保存されたデータは安全性や透明性が非常に高いです。

障害やシステムダウンが発生しにくい

その高い耐障害性もDAppsの強みです。従来のアプリケーションは1つまたは少数のサーバに依存しているため、そのサーバに問題が発生すると直ちにサービス全体がダウンする可能性があります。しかし、DAppsでは多数のノードにデータと処理が分散しているため、一部のノードで障害が発生しても、他のノードがその負荷を引き受けることで、システム全体のダウンタイムを最小限に抑えることが可能です。

DAppsのデメリット

多くのメリットがある一方で、DAppsにはいくつかのデメリットもあります。以下では、DAppsの主だった課題を解説します。

スケーラビリティ問題がある

DAppsの第一のデメリットは、スケーラビリティの問題です。DAppsでは利用者が増えると、ブロックチェーン上でのデータ処理に時間がかかる場合があります。これによって、取引のスムーズな進行や快適なユーザー体験に悪影響が出るかもしれません。この問題の解決策としては、ブロックチェーン上で必要なデータ処理だけを行い、それ以外の処理は従来方式にして特定のサーバで行うといった方法が挙げられます。

利用者増によって手数料が上がる

DAppsが普及して利用者が増えるにつれて、コスト(手数料)が増えてしまうことも懸念されます。ブロックチェーン全体の取引(トランザクション)が増加すると、DAppsの維持運用にかかるコストも増加するので、それが取引手数料などの引き上げにつながる可能性があります。そのため、十分な額の仮想通貨を準備しておくことも必要です。

トラブル時にサポートを受けにくい

DAppsのもう1つの重要なデメリットは、トラブル発生時にサポートを受けにくい点です。一般的なアプリケーションとは異なり、DAppsには強力な権限を持つ管理者が存在しません。そのため、何らかの問題が発生したとしても、基本的にユーザー自身が自己責任で対処しなければなりません。ブロックチェーンに関連する法整備はまだ遅れている点が目立つので、その点も不安なところです。個人情報の管理も含め、ユーザー自身が主体的に関与しなければいけないのは、ブロックチェーンやDAppsの良いところにも悪いところにもなりえます。

DAppsの利用をするにあたっては、上記のメリットとデメリットをしっかりと把握した上で、DAppsが企業戦略にどれだけ適しているかを評価することが必要です。

まとめ

DAppsとは、ブロックチェーン技術を基盤とする分散型アプリケーションです。中央集権的な管理者を必要としないDAppsには、情報漏洩リスクの低さを筆頭とする様々なメリットが存在します。現状ではいくつかのデメリットが存在するのも事実ですが、今後これらの課題に対しても解決策が生まれ、多岐にわたる分野で活用されていくことが期待されています。

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