CPQとは? 機能やメリットから導入における注意点まで解説

 2024.02.21  デジタルビジネスシェルパ

製品やサービスの仕様・構成をカスタマイズして正確な見積もりを出す作業には、多くの時間と労力が生じます。生産性や迅速さが重視される現代のビジネス環境において、こうした課題は看過できません。この記事では、製品構成から価格設定、見積作成に至るまでのプロセスを自動化するCPQについて、その意味や導入効果などを解説します。

CPQとは? 機能やメリットから導入における注意点まで解説

Digital Transformation Next ~シリコンバレー発DXレポート~(CTC DX Days 2021 chapter2 講演資料)

CPQとは

CPQとは、Configure(製品の仕様・構成)、Price(価格設定)、Quote(見積もり)の頭文字から成る言葉で、これら一連の業務プロセス、またはそのプロセスを自動化・効率化するシステムを指します。CPQは、製造業などにおける複雑な製品構成を容易に行えるようにした上で、適正な価格を自動算出し、正確な見積書の作成を自動で行います。

これによって企業は、個々の顧客ニーズに寄り添いながら、より多くの顧客へ対応することが可能です。CPQの最大の特徴は、従来のビジネスツールと比較して価格計算や見積もり作成に特化した機能にあります。また、営業プロセスのDXを実現するツールとしても注目されています。

CPQとは

CPQの機能

CPQは、製品構成・価格設定・見積もり作成の各プロセスに対応した機能に加え、見積りを出すまでに必要となるワークフローを効率化する機能も備えています。

製品に関する機能

製品やサービスの仕様・構成を適切かつ簡単に組み合わせられるようにする機能です。例えばパソコンをカスタマイズする際には、CPUやHDD、グラフィックボードなど、多種多様なオプションから適切な組み合わせを選ぶ必要があります。製品・サービスの構成を作成する場合も同様に、様々な部品やオプションの中から適切なものを選択しなければなりません。CPQには、こうした複雑な構成を誰もが簡単にカスタマイズできるよう支援する機能が搭載されています。この機能によって、顧客のニーズに応じた仕様の構成が容易になります。

価格に関する機能

上記の製品構成・仕様に基づいて価格を自動計算する機能です。製品構成のカスタマイズに応じて即座に適正な見積もりを算出できます。構成を変更した際や価格の変動があった場合でも自動的に反映されるほか、需要に応じて柔軟に価格を変更することも可能です。また、ボリューム割引やキャンペーン割引など様々な要素も組み込めます。

見積書に関する機能

製品構成とそれに応じた価格計算に基づいて、見積書や提案書を自動作成する機能です。過去の取引情報なども活用して、指定のフォーマットに即した見積書を作成できます。見積もり業務の時間短縮やミスの軽減に効果的です。

CPQにおいて以上のようなプロセスを制御する核となるのがコンフィグレーションエンジンです。仕様・構成のバリエーションが豊富であっても組み合わせルールに基づいて最適化し、顧客の要望を満たす見積もりへと導きます。

ワークフローに関する機能

CPQは、組織内のワークフロープロセスをデジタル化・効率化する機能も備えています。営業担当者が見積書を先方に提出するまでには、管理者の承認を得る必要があります。この申請・承認プロセスをシステム上で処理できるようになるため、意思決定の迅速化や申請・承認状況の可視化が可能です。

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CPQのメリット

CPQの導入によって、企業は数多くのメリットを得られます。その中でも特に大きなメリットとして、時間の短縮・顧客満足度の改善・属人化の回避の3点をピックアップして紹介します。

時間の短縮

CPQは、見積書作成に至るまでの業務プロセスの多くを自動化し、人の操作が必要な部分も効率化します。自動化によって、複雑な作業にかかる負担やヒューマンエラーを削減することが可能です。これによって営業担当者が見積もり作成に費やす時間を短縮し、コア業務に専念させられます。また、見積書作成に至るまでの時間が短縮されることで、商談のスピードアップにつながります。

顧客満足度の改善

CPQの導入はマス・カスタマイゼーション(大量生産と受注生産の両立)を実現し、結果として顧客満足度の向上をもたらします。顧客ニーズにあわせて製品構成を最適化し、スピーディに商談を進められることは顧客にとっても大きな利点です。

特に、VividWorks社「3D Product Configurator」のように製品イメージを3Dで視覚化できるソリューションと併用することで、顧客は見積もり段階から、製品の仕様・構成にあわせた視覚的イメージを確認できるようになります。製品の視覚イメージを自由な角度から確かめながら製品構成を自由に組み立てられることは、顧客体験の質を高める上で非常に有効です。

属人化の回避

CPQの活用によって、複雑な製品構成の見積書を誰もが容易に作成できるようになるため、属人化の回避につながります。通常、製品の仕様や構成を柔軟にカスタマイズするには複雑な組み合わせルールを適用する必要があります。そのため見積書作成には深い知識や経験が必要となり、多くの企業において属人化が問題となっていました。CPQによってその作業をシステム化することでそのような属人化を回避し、複数人で業務に当たれるようになります。

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CPQのビジネスへの適用

CPQは、とりわけ製造業におけるDXを後押しする用途に適しています。前述のように、CPQはマス・カスタマイゼーションの実現を可能とするため、個別最適化によって顧客満足度を高めつつ大量生産による利益拡大を目指す企業にとって非常に魅力的なツールです。

ただし、CPQは製造業に限らず様々な業界・規模の企業で活用できます。実際、欧米を中心としたグローバル市場では、製造業のみならず金融業やサービス業などでもCPQの導入が進んでいます。

CPQの導入における注意点

CPQの導入は多くのメリットをもたらす一方で、注意すべき点もあります。

まず、CPQ製品には様々な種類が存在するため、自社のニーズにマッチした製品を選ぶことが重要です。導入・運用コスト、操作性、既存システムとの連携性、メンテナンス性などの要素を多角的に検討する必要があります。

また、CPQの導入に際しては既存の業務フローの見直しも同時に行うことが求められます。さらに、CPQの操作自体にも慣れなければいけません。そのため、従業員への教育やマニュアルの整備なども実施する必要があります。

CPQの導入後の効果と将来展望

ここまで解説してきたように、CPQの導入は企業と顧客の双方に大きなメリットをもたらします。企業側においては、複雑な製品構成や価格見積の作成にかかる作業の簡便化や、ミスの減少といった効果が期待できます。また、3D Product Configuratorと組み合わせることで、複雑な模型や製品の確認がしやすくなり、顧客への説明が容易になります。

顧客側においては、構成や仕様が複雑な製品を発注した場合に不適切な組み合わせを避けられるようになる点は大きなメリットです。また、営業担当者と顧客の双方が価格情報をリアルタイムに確認できるようになるため、タイムラグを削減でき、スムーズに商談を進められるようになります。

生産性向上がますます重視される現代のビジネス環境では、上記のような効果を持つCPQの導入は将来的にも大きな価値を持つことが考えられます。

まとめ

CPQは、製品構成・価格設定・見積書作成といった営業プロセスを自動化・効率化するツールです。CPQを活用することで、大量生産と受注生産を両立させるマス・カスタマイゼーションを実現できるメリットがあります。

CPQの活用で顧客満足度をさらに高めるためには、3D Product Configuratorの導入もおすすめです。3D Product Configuratorによって製品イメージを3Dモデル化することで、視覚的に確認しながら製品の仕様・構成をカスタマイズできます。3Dモデルを提示しながら製品の説明やプレゼンを行うことで、営業活動の効果を高めることが可能です。

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