レイクハウスとは?
特徴やデータレイク・DWHなど似た単語との違いを紹介

 2024.03.28  デジタルビジネスシェルパ

社会のあらゆるシーンでデジタル化が加速する現代市場では、データ分析基盤の構築と戦略的活用が欠かせません。そして、ビッグデータ分析の需要増大に伴って注目を集めているのが、レイクハウスと呼ばれるソリューションです。本記事では、レイクハウスの概要や導入するメリットについて解説します。

レイクハウスとは? 特徴やデータレイク・DWHなど似た単語との違いを紹介

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レイクハウスとは?

レイクハウスとは、データレイクとデータウェアハウスがもつ利点を組み合わせた、次世代型のデータ管理システムです。詳しくは後述しますが、この2つはデータ分析に欠かせないシステムであり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。それぞれのメリット部分を兼ね備えた、新しい概念のデータ管理システムとして誕生したのがレイクハウスです。

データレイクは形式を問わず大量の生データを蓄積できるものの、データのフォーマットが統一されておらず、未加工の状態で保管されるため、データの検索や分析に多大な工数を要します。一方、データウェアハウスは表形式に構造化されたデータのみを保管するため、情報検索の高速化やツールを介したデータビジュアライゼーションに対応可能です。しかし昨今では、非構造化データを取り扱う機械学習の発展に対応できなくなりつつあります。機械学習とは、大量のデータ内に潜むルールを文字通り、機械=コンピューターが自動的に学習することです。非構造化データとは、音声・画像・映像、メールやテキストなどの構造化されていないデータです。最近では、生成AIによるフェイク動画をニュースで見たことがある人も多いかもしれません。このようなフェイク動画は、機械学習の一手法であるディープラーニングを利用して作成されたものです。

レイクハウスは、データレイクのように多様な形式の生データを大量に保管でき、データウェアハウスと同様のデータマネジメント機構を有する点が特徴です。それぞれの機能を1つの基盤で管理できるため、データの抽出や分析で複数のシステムを横断する必要がありません。また、データレイクにはないトランザクションサポートを備えており、データの一貫性と品質を担保しながら、ビッグデータ分析の高速処理を実現できます。

似た単語:データレイクとは

データレイクとは、Data Lake(情報の湖)という名が表す通り、湖のように大量の生データを保管するストレージです。構造化データ・半構造化データはもちろん、機械学習に用いられる画像や動画、テキストといった非構造化データを無加工のまま保管できます。データウェアハウスのようにデータ検索の高速処理には向きませんが、大容量かつ安価なストレージに、多様な形式のデータを膨大に貯蔵できる点がデータレイクのメリットです。

似た単語:データウェアハウス(DWH)とは

データウェアハウスとは、Data Ware House(情報の倉庫)の意味をもつデータベースを指します。データウェアハウスの役割は、列と行が定義された構造化データの保管です。データレイクに収集・蓄積されたデータはETLツールを介して抽出・加工され、データウェアハウスへ送出されます。そして、BIツールで可視化したデータを、各種手法を用いて分析します。つまり、データウェアハウスに格納された構造化データをBIツールで可視化する、という関係性です。BIとはBusiness Intelligenceの略で、ビジネス上の意思決定をデータに基づいて行うことを意味します。つまりBIツールとは、そのプロセスを支援するツールのことです。

似た単語:データマートとは

データマートとは、データウェアハウスに内包される小規模なデータベースです。データウェアハウスは組織全体の構造化データを保管するのに対し、データマートは部門やプロジェクトなどの目的に応じた特定の構造化データを格納します。Data Mart(データの市場)の名が示す通り、小売店の売り場のように、目的に基づいて情報が整理されている点が特徴です。特定の用途に対応する構造化データを個別に保管することで、より高速な情報検索とデータ分析を実行できます。

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レイクハウスが誕生した背景

近年はデジタル技術の発展に伴って、事業活動で取り扱うデータの総量が増大しており、BIツールや機械学習を用いたデータ分析の需要が年々拡大しています。従来は、データウェアハウスによる構造化データの管理が一般的でした。ところが、先述したようにデータウェアハウスは非構造化データを分析する機械学習に対応できなくなっており、多様なフォーマットの生データを大量に保管できるデータレイクが誕生します。

しかし、データレイクはトランザクション処理に適したアーキテクチャではなく、データ品質の確保が困難です。トランザクションとは、データ処理を行う際の分割できない一単位のことであり、トランザクション処理とは、関連性のある複数の処理をひとつにまとめて処理することをいいます。さらに、非構造化データはBIツールを用いたデータビジュアライゼーションに対応できません。また、データ形式に制限がないため、無計画にデータを取り込むことでデータスワンプに陥るリスクが懸念されます。そのため、BIツールや機械学習を用いた効率的なデータ分析の実行には、データレイクとデータウェアハウスを繋ぎ合わせる必要がありました。

その場合、インフラストラクチャの構築・運用やETL処理に多大なコストと工数を要します。加えて、データ分析の工程が複雑化すると共に、それぞれの基盤にデータが重複することで、情報の一貫性と信頼性が失われる点もデメリットです。このような背景も相まって、各システムの長所を活かしながら、それぞれの課題を克服したデータ管理システムとしてレイクハウスが誕生しました。

レイクハウスを導入するメリット

レイクハウスの導入によって得られる主なメリットは、以下の3点です。

データ利活用マネジメントの幅が広がる

レイクハウスは、データレイクとデータウェアハウスがそれぞれに持つ長所を1つの基盤で運用できるため、構造化データと非構造化データを組み合わせた柔軟なデータ分析を実現できます。

データレイクは、多様かつ大量の生データを保管できる点が大きな特徴であり、データウェアハウスと比較して大容量のストレージを安価に構築できます。データウェアハウスは、分析用途に整形されたデータを素早く検索・表示でき、データレイクでは実現できない高速なクエリと集計処理が可能です。

また、BIツールによるデータビジュアライゼーションはデータウェアハウス、機械学習によるデータ分析はデータレイク、といった区別が不要になる点もメリットです。

データの質・信頼性が向上する

データレイクは、保管できるデータ形式の多様性ゆえに、データの一貫性を確保するのが容易ではありません。一方で、構造化データの保管に特化したデータウェアハウスは、ストレージ容量の拡大に相応のコストが必要です。さらに、各システムのデータ移動にETL処理が必要なため、データ分析のコストと工数が増加します。

また、それぞれのシステムを連携させて運用する場合、データの重複やサイロ化が生じて、情報の品質と信頼性が失われるリスクがあります。レイクハウスはこうした課題を解消できるため、大量の生データを扱いながら情報の一貫性を確保し、正確性と整合性の高いデータ分析を実現できる点がメリットです。

コスト削減につながる

レイクハウスはデータレイクとデータウェアハウスを統合し、データの管理と分析に特化した1つのプラットフォームとして機能します。それによってデータの複製や同期といった課題が軽減され、データマネジメントやデータ分析に要するコストと工数を大幅に削減できます。

また、ユースケースによって異なりますが、レイクハウスでは一般的に、データをELT方式で処理・統合します。ELTとは、Extract(抽出)、Load(読み込み)、Transform(変換)の処理順のことで、ELTのほかにETL方式があります。レイクハウスがETLではなく、ELTでデータ統合を行う理由は、レイクハウスの豊富なコンピュータリソースを活用できるからですが、そのほかにもメンテナンスの必要性が少なく、メンテナンスコストを削減できることも挙げられます。

まとめ

レイクハウスとは、データレイクとデータウェアハウスの利点が融合したデータ管理システムです。データレイクのように多様な形式の生データを大量に保管できると同時に、データウェアハウスの高速なクエリや集計処理を実現できます。
データレイクの欠点である情報の整合性や一貫性の確保の難しさ、データウェアハウスの拡張性の低さ、そして非構造化データの機械学習への適用の難しさといった課題を解決できるのが、レイクハウスの利点です。

また、データレイクとデータウェアハウスを1つの基盤で運用できるため、インフラストラクチャの構築費用やシステムの運用負荷を軽減できる点は大きなメリットです。それによって、膨大なデータ群の品質を担保しながら、BIツールや機械学習を介した正確性と整合性の高い高速なデータ分析を実現できます。

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