ペーパーレス化とは? 推進のメリットや課題、ポイントも解説

 2022.12.12  2023.06.08

近年では多くの企業がペーパーレス化への取り組みを進めています。ペーパーレス化への取り組みで得られるメリットは多数あるものの、いくつかの課題があることも理解しておかねばなりません。本記事では、ペーパーレス化の概要やメリット、考えられる課題や取り組みを成功させるポイントなどについて解説します。

デジタル化を推進すべき”23の領域” とは?

ペーパーレス化とは

ペーパーレス化とは、自社の業務やビジネスにおいて紙を使用しない環境や体制を構築することです。会議で用いる資料や給与明細、パンフレット、各種ビジネス文書などを電子化して取り扱います。

電子化の方法としては、既存の文書をスキャンして電子化する、もしくは最初から電子データとして取り扱う方法が挙げられます。ペーパーレス化への取り組みによって企業は様々なメリットを得られるほか、デジタル技術の活用による組織やビジネスモデルの変革、すなわちDXの第一歩ともなります。さらに自然環境の保護にもつながるなど社会的な意義の大きな取り組みでもあります。

なお、ペーパーレス化といっても全ての文書を電子化できるわけではありません。法律によって、紙媒体のまま保存が義務付けられているものもあるため、正しい理解が必要です。

デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むエンタープライズ企業の成功と挫折の現状
現場最前線で働くフロントラインワーカーのためのデジタル化支援ソリューション「ATHEER」

ペーパーレス化を推進するメリット

企業がペーパーレス化に取り組むメリットとして、コストの削減が挙げられます。また、各種文書の電子データ化によって業務の効率化が進むほか、セキュリティの強化や企業イメージの向上につながるのもメリットです。

コストの削減

紙の書類を使用するケースでは様々なコストが発生します。例えば、会議の資料を作成するとなれば印刷用紙が必要となるほか、プリンターのインク代や電気代、印刷作業に要する時間コスト、郵送費用などが生じます。

また、紙の書類を保管するにはスペースが必要です。場合によっては1つの部屋を丸々保管スペースとして使用するケースも珍しくありません。ペーパーレス化を進め書類を電子データとして扱えるようになれば、端末やオンラインストレージなどで保管できるようになるため物理的スペースは不要です。

業務の効率化

業務を効率化できるのもメリットのひとつです。電子データは管理しやすいため、必要なときに目的のデータへスピーディにアクセスできます。必要な書類がどこにあるのかわからない、見つからないといったことが生じず、効率的に業務を遂行できます。

また、電子データであれば情報共有も容易です。例えば、オンラインストレージでデータを管理し、適切にアクセス権限を付与すれば関係者間でスムーズに情報を共有できます。関係者を探して一人ひとりに書類を配布する、といった手間がなくなるため効率的です。

セキュリティの強化

セキュリティ強化をペーパーレス化で実現できるのもメリットです。紙媒体の場合、どうしても紛失や盗難といったリスクがつきまといます。組織にとって重要な情報が記載された文書が外部に流出したとなれば、企業としての信頼を失いかねません。

ペーパーレス化に成功すれば、上記のようなリスクを軽減できます。情報へアクセスできる権限を適切に付与すれば、関係者しかデータを取得できません。また、紙媒体は経年劣化によって読みにくくなる、破損するといったリスクがあるほか、災害時には文書そのものを消失してしまうリスクがありますが、電子化しておけばその心配もありません。

企業イメージの向上

国内外を問わず、環境保護への関心は高まりつつあります。ペーパーレス化への取り組みは森林の保護にもつながるため、企業イメージが向上する効果が期待できます。

近年では、消費者も地球環境に配慮する企業に良い印象を抱く傾向が見受けられます。ペーパーレス化に取り組んでいる企業であるとアピールすれば、地球環境に配慮している企業として認知されて企業イメージが向上し、売上や利益の拡大につながる可能性があります。

ペーパーレス化を推進する際の課題

ペーパーレス化を進めたいと考えつつも、なかなかうまく進まないといったケースは少なくありません。よくある課題として、業務で生じる問題に対する懸念や導入に必要な費用などが挙げられます。

業務上の問題

ペーパーレス化によって、業務を遂行する上で様々な問題が発生する懸念があります。例えば、紙の資料なら複数を並べて同時にチェックする、といったことが可能ですが、電子データで同じことをしようとすると複数のデバイスを要します。

また、デバイスの不具合やシステム障害などによって、必要なときにデータへアクセスできないおそれもあります。その結果、業務がストップしてしまい損失を被ってしまうかもしれません。

ペーパーレス化が定着しないおそれもあります。従業員のITリテラシーが低いと、データへアクセスできない、端末やシステムを使いこなせない、といったことが生じてしまい、ペーパーレス化の浸透が阻害されます。

導入の費用

ペーパーレス化にあたり、進めた先ではコスト削減の恩恵がありますが、導入時には一定のコストが発生します。ペーパーレス化を実現するには、ビジネスチャットのようなコミュニケーションツールやデータを管理するオンラインストレージ、ワークフローシステムなどのツールが必要です。

これらのツールを導入するのに初期費用が発生するほか、月額料金を要するものもあります。また、既存の紙書類を電子化するとなれば、スキャンして取り込む作業が発生するため、人的コストや時間コストがかかります。外注する手もありますが、この場合も多額の費用が発生するおそれがあります。

ペーパーレス化の推進を成功させるポイント

ペーパーレス化を成功させるには、従業員の理解を得ることが不可欠です。また、いきなり組織全体に導入するのではなく範囲を限定して取り組むこと、自社にマッチしたシステムやツールを選定することなどが大切です。

社内の理解

ペーパーレス化を成功させるには、経営層はもちろん従業員の理解を得ることが大切です。ペーパーレス化は組織全体で取り組む必要があるためです。

なぜペーパーレス化に取り組む必要があるのか、取り組みによって自社にどのようなメリットが生まれるのか、といったことを理解してもらわなくてはなりません。まずは経営層がペーパーレス化の目的やメリットなどを正しく理解し、トップダウンで社内に浸透させていくと良いでしょう。

段階的導入の実施

いきなり組織全体で取り組むと、現場が混乱してしまうおそれがあります。想定外の問題が発生し業務が停滞するおそれもあるため、まずは部分的に導入して様子を見ましょう。

スモールスタートで取り組み、様子を見ながら対象の範囲を拡大していくと良いでしょう。最初は、万が一トラブルが起きてもビジネスに大きな影響を与えない部署、取り組みやすい部門に絞って進めると安心です。

ツールの選定

ペーパーレス化を実現するためのツールは多々あります。ビジネスチャットに勤怠管理ツール、ワークフローシステム、電子契約システム、Web会議ツールなどが代表的で、ほかにもペーパーレス化に役立つツールはいくつもあります。

何を電子化するのか、どのような課題を解決したいのかによって選ぶべきツールやシステムが変わるため注意が必要です。また、優れたツールやシステムを導入しても、従業員が使いこなせないようでは意味がないため、機能面だけでなく操作性も重視しつつ選ぶ必要があります。

まとめ

企業がペーパーレス化に取り組むことで、様々なコストを削減できるほか、セキュリティの強化や企業イメージの向上といったメリットを得られます。一方で、業務で問題が発生する可能性がある、ツールやシステムの導入に費用が発生するといった課題があることには注意が必要です。導入を成功させるには、経営層と従業員双方の理解を得た上で段階的に導入を進め、自社にマッチしたツールを選定することが大切です。

CTA

RECENT POST「デジタルビジネス全般」の最新記事


デジタルビジネス全般

再生可能エネルギーとは? 資源の種類やメリット、今後注目のビジネスについて解説

デジタルビジネス全般

ChatGPT(チャットGPT)のビジネス活用事例と上手な利用で得られる効果

デジタルビジネス全般

アダプティブAIシステムとは? 従来型AIとの違いや注目されている背景について解説

デジタルビジネス全般

AI TRiSMとは? 言葉の意味や注目されている背景について解説

ペーパーレス化とは? 推進のメリットや課題、ポイントも解説
CTA

RECENT POST 最新記事

CTA

RANKING人気記事ランキング


OFFICIAL SUPPORTER