マネージドクラウドとは?手間をかけないクラウド保守の方法を徹底解説

 2022.04.08  2023.06.08

クラウドベースのITサービスを企業内で提供する場合、企業それぞれ運用ルールが異なります。またクラウドにも提供形態に種類があり、複雑な運用が必要になることがあるでしょう。

時間と人材リソースが限られている企業では、運用管理・保守を外部から提供してもらうことが企業にとっては一般的な利用形態になっています。

ここではマネージドクラウドはどのように選べば運用管理・保守に手間がかからないのか、この記事で解説します。

マネージドクラウドとは?手間をかけないクラウド保守の方法を徹底解説

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マネージドクラウドとは

マネージドクラウドとは、クラウドサービスの管理に関するあらゆる項目をアウトソーシングできるサービスのことをいいます。

AWS(Amzon Web Service)やMicrosoft Azureなど、クラウドサービス自体が提供している運用管理・保守をマネージドクラウドと呼ぶこともありますが、一般的には「○○社マネージドクラウド for AWS」というように外部業者によるクラウドの運用管理・保守サービスを指しています。

IT人材が潤沢とはいえない企業も多いなか、システムを運用する負荷を軽減できることや、クラウド専門の技術者によりサービスの質を高められる点がマネージドサービスのメリットです。そこで、原則としてマネージドサービスを使用することが推奨されています。

マネージドとフルマネージドの違い

マネージドクラウドには、マネージドクラウドと、フルマネージドクラウドの2種類があります。

マネージドクラウドは、運用管理・保守の「一部」をアウトソーシングできるサービスです。これに対して、フルマネージドクラウドは、サーバーの運用管理・保守の「すべて」をアウトソーシングできるサービスのことを指します。

フルマネージドサービスと比較すると、一般的にはマネージドサービスの方が低コストで提供されています。

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クラウドサービスの形態によって管理範囲は異なる

クラウドサービスには、IaaS、PaaS、SaaSと形態の異なるサービスがあります。IaaS、PaaS、SaaSの3つを比較すると、管理の範囲が異なる点が特徴です。

そこで、マネージドサービスを外部に委託すると、クラウドサービスのそれぞれ管理範囲を前提とし、内容を管理範囲に合わせたサービス提供を行っています。以下でIaaS、PaaS、SaaSの管理範囲の違いについて説明します。

IaaS

IaaSとは、Infrastructure as a Servicesの略称であり、インフラストラクチャを提供するクラウドサービスの形態です。

管理範囲はオペレーティングシステムより下位のもので、仮想サーバー・通信などのインフラストラクチャの管理を行います。ただし、ソフトウェアの更新やセキュリティは自分で行う必要があります。

インフラストラクチャは入れ替える際に大きなコストがかかりがちですが、IaaSにすると入れ替えコストの節減につながり、マネージドサービスのコストのみで十分なインフラの運用・保守が可能です。

管理範囲が狭い分、柔軟に最新のアプリケーションに合わせた環境など、ニーズに合わせた環境の構築がしやすく、開発の自由度も高くなる点が大きなメリットといえるでしょう。

PaaS

PaaSはPlatform as a Servicesの略称であり、プラットフォームを提供するクラウドサービスの形態です。

アプリケーションやシステムの構築・運用に必要とされるプラットフォームを提供するクラウドサービスの形態で、管理範囲は、IaaSが対象とするものに加えて、オペレーティングシステムやミドルウェアなどが含まれます。

IaaSよりも、自社で行う作業を大幅にカットできる点や、IaaSほどは自由度がないものの、開発もある程度柔軟に行える点がメリットです。

SaaS

SaaSはSoftware as a Servicesの略称であり、アプリケーション自体を提供するクラウドサービスの形態のことをいいます。

アプリケーションから下位をすべてメンテナンスフリーでベンダーが提供するサービスなので、サブスクリプションだけで利用することが可能です。管理範囲がPaaSの対象とするものに加え、アプリケーションソフトウェアまで含まれます。

利用者の管理の範囲はアカウント・データの管理のみとなります。

上記で説明した通り、クラウドサービスの形態に応じ、ベンダー・ユーザーがそれぞれ管理をする範囲が異なるので、結果として外部にマネージドサービスを委託する場合クラウドサービスによってサービスの対象となる範囲も異なります。

マネージドクラウドの一般的なサービス内容

マネージドクラウドサービスでは、一般的にどのようなサービス内容を提供しているのでしょうか。IaaSや、PaaSとして利用されているAWSのマネージドサービスを例として紹介します。

クラウド環境の構築

マネージドサービスでは、クラウド環境の構築を提供します。

AWSの場合、クラウド環境のどの範囲を使うか、サービス利用範囲を選ぶことができ、企業のクラウド環境を外部業者が設計することが可能です。

専門の担当者が、各企業で要望をヒアリングなどして調査を行い、クラウド環境の構築と利用に必要な標準・カスタマイズ設定を適切に行います。

クラウド環境の運用

クラウド環境の運用も、マネージドサービスとして提供されます。例えば、オペレーションフローを決めて問い合わせ窓口を運営すること、必要な設定の変更やテストを行うこと、またクラウドの利用に関して、特に守る必要のあるルール設定・運用なども運用範囲に入ります。

セキュリティ運用代行をマネージドサービスとして提供している場合は、外部業者がセキュリティログの取得を行い、ログを元に調査を行うことなど、セキュリティガバナンスの運用代行を行うこともあります。

クラウド環境の障害対応

クラウド環境の障害対応もマネージドサービスで提供します。

ITサービスに問題が生じ、正常に利用できない場合、クラウドサービス側の障害対応を行い、復旧させるサービスを行います。

システムに障害が発生し、お客様がそれを検知したとき、連絡を受けたら対応するのが一般的なサービス内容です。

マネージドクラウドを利用するメリット

マネージドクラウドを企業が利用するメリットは、コア業務への集中や、専門技術がある人員が少ない場合にも対応できることの2点が大きいものです。

コア業務に集中できる

これまでサーバーの運用管理に関わっていた情報システム部門の担当者を、コア事業に回すことができます。

情報システム部門の担当者は、専門性を超えて広く業務を担当することが多く「1人情報システム部」になることも珍しくありません。

DXのためのアプリケーション導入・開発などのコア業務に集中したいという場合は、マネージドサービスによりカバーしてもらう方がリソースを有効に使えます。このことにより、コストの平準化や従業員の生産性アップが図られることもメリットです。

専門技術がなくても運用できる

サーバーの運用管理・保守は、サーバーの専門技術者が行います。通信も同様で、すべての管理業務をマネージドサービスでアウトソーシングできることから、専門技術や経験が不要といえるでしょう。

専門技術者をどの分野においてもまんべんなく企業内に揃えることは現実的ではありません。足りないところをスピーディに補えることがメリットとして大きいと言えます。

マネージドクラウドにおけるデメリット

マネージドクラウドにおけるデメリットは、次のような点にあります。

サービスが限定されるケースがある

提供するプロバイダーによってサービス範囲が異なるので、自社の求めるサービスを提供しているか、事前に精査する必要があります。

しかし自社がサービスとしてほしい内容は何か、事前に絞り込むことができれば、こうしたデメリットは回避できますので、克服できないデメリットではありません。

ベンダーロックインが起こる

特定ベンダーへの依存が大きくなり、将来自社で提供できるITサービスの幅が狭まったり、もともと目的とする業務改善ができにくくなったりすることをベンダーロックインといいます。

マネージドサービスに依存しすぎると、他社への移行が難しくなる・サービス終了や料金値上げなどで困る可能性があるなどの懸念はあります。

しかしサービスプロバイダーが広くクラウドサービスを取り扱う場合、こうした懸念は少なくなるでしょう。マネージドサービスでも、AWS・GCP(Google Cloud Platform)・Microsoft Azure・OCI(Oracle Cloud Infrastructure)など、主要ベンダーの製品を広く扱うプロバイダーなら、決定的なデメリットになるとはいえないものと考えられます。

社内に技術が蓄積されない

社内に技術が蓄積されない点もデメリットと考えられます。例えば、サーバーについてマネージドサービスの提供を受けると、サーバー管理に自社の従業員が関わらないため、企業内にサーバー管理のノウハウがたまらない可能性があるのです。

ただし、この点もフルマネージドサービス・マネージドサービスで差があるうえに、現実的には企業内のITリソースは全般的に不足しているため、選択と集中が課題といえるでしょう。

どこまで社内にノウハウを蓄積するか、長期計画のなかで織り込むことを検討したうえで、社内リソースが不足するということもあるでしょう。ビジネス判断によりますが、こうした場合、一定の期間はノウハウ蓄積の優先順位を下げざるを得ないこともあります。

マネージドクラウドはどんなときに利用すべき?

メリット・デメリットを理解して利用すると、マネージドクラウドはIT業務の効率性・生産性を改善し、不足するリソースを補うことができます。次のような場合には、利用することのメリットが大きいと考えられます。

システムの運用負荷を軽減したい場合

例えば、オンプレミスでのサーバー管理には、ハードウェアの管理やソフトウェアの設定、各種監視・セキュリティ対応・障害検知などあらゆる項目があるため、人員に関する悩みをもつ企業は多いものです。

業務のアウトソーシングにより、運用負担を軽減したい場合は、マネージドクラウドを利用する価値があります。担当者により高度で生産的な業務に専念してもらいたい場合も同様です。

安定してシステムを維持できる

現在のクラウドサービスの運用は複雑になっています。クラウドサービスが充実しているだけに、何でもクラウドでできると考えてもおかしくはありません。

システムの組み合わせ・インフラの設定など、自社の業務の内容に合わせた安定的なシステム運用は重要課題です。

専門性が高く複雑な運用であっても、事例の豊富な蓄積のある専門サービスプロバイダーにとっては難易度の高いことではないかもしれません。その結果、安定したシステム維持が可能となり、企業内ITサービスの質も優れたものとなる可能性が大きくなるといえるでしょう。

マネージドクラウドの選び方

上手にマネージドクラウドサービスを活用するには、どの範囲までの管理を任せたらよいか、企業内で決めておくことがポイントです。

もともと管理範囲はクラウドの種類によって異なりますが、それだけでなく今後の社内でのノウハウの蓄積・人員計画なども広い視野から考慮にいれて、どの範囲まで任せることが適切か決めておきましょう。

また、プロバイダーによりサービスの範囲も異なりますので、自社の決定を最大限反映できるプロバイダーはどこなのか、比較検討結果によって異なってくると考えられます。

さらに、データの管理については管理権の所在を明確にしておくこともポイントです。どのデータまではプロバイダーに任せるのか、どこは任せられないのか、具体的な検討が必要です。

運用コストやセキュリティ設計に関わることなので、ベンダーおよびマネージドクラウド選びにも大きな影響があります。

まとめ

マネージドクラウドは、場合によって複雑な運用を要求されるクラウドサービスの利用において、今や不可欠なサービスといっても過言ではありません。

特に、優れた品質のパブリッククラウドによる環境を構築し運用するには、専門チームによるマネージドサービスによるサポートを受けることが上手な利用法と考えられます。

CTCグループによるMCMS(マルチクラウドマネージドサービス)は、パブリッククラウド上のシステムを専任のエンジニアチームで一元的に保守運用するサービスでありAWS、Microsoft Azure、GCP、OCI等に対応しています。

仕様に関する問い合わせ対応・障害切り分け作業および設定変更作業など、工数と手間がかかる作業も含めて幅広く対応し、システムの安定稼働をサポートします。

クラウドサービスの運用管理・保守に人員が足りない・安定稼働でより質の高いITサービスを実現させたいといった課題がある場合、MCMSの導入をご検討下さい。

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