デジタル化による作業支援の効果とは?導入手順や事例について解説

 2022.05.25  2022.08.04

昨今の世界的なDX化の波に乗り、デジタル支援によって現場作業の効率性を上げたいという企業が増えています。この記事では、デジタル化による作業支援の取り組みの概要について解説するとともに、導入により期待できる効果や実際の導入手順、成功事例についてもご紹介します。

デジタル化による作業支援の効果とは?導入手順や事例について解説

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デジタル化による作業支援とは

昨今、紙とペンを使ったアナログな方法から、ペーパーレスやマルチデバイス機器の活用といった、作業のデジタル化が進んでいます。そもそも「デジタル化」とは、物理的なワークフローがそのままオンラインに移行することを意味します。同じような言葉で「DX化」もありますが、これはデジタル技術によって、それまで物理的になかったビジネスやワークフローがオンライン上で実現することを指します。

DX化が最終段階だとすると、デジタル化はその途中にある段階といえます。したがって、DX化を実現するためには、まず現状にて存在するアナログな作業のデジタル化から始める必要があります。

デジタル化によって作業支援を行う例は、次々に誕生し多様化しています。たとえば、作業支援ロボットやAIなどを活用し、それまで人が行ってきた作業領域を減らす「自動化」の取り組みが加速しています。工場内の設備機器をネットワークへつなぎ、生産の効率化などを目指す「スマート工場化」や、オンラインによる作業支援カメラの活用なども、その取り組みの一環といえます。

またテレワークの拡大により、デスクワークでもインターネットにつないだパソコンを使って、遠隔から作業を指示したり支援したりといったことが一般的になっています。これも、デジタル化による作業支援のひとつの例といえるでしょう。

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現場への作業支援が必要な背景

ここで作業現場に焦点を当ててみると、紙ベースの作業手順書を作成し、チェックリストでの作業依頼や実行、確認までを行っていることが多く見られます。しかし、そのプロセスにはさまざまな課題があることも事実です。では、具体的にどのような課題があるのでしょうか。

効率性の悪さ

1つ目は、作業効率についてです。作業工程が多岐にわたり複雑化すると、作業手順書は膨大な量となるため、現実的に紙での管理や活用が困難になります。手順書の作成時、抜け漏れやミスが多発することは容易に想像できるでしょう。

また、紙へ記録した情報をさらにシステムでも入力しなければならないなど、二度手間が発生し生産性の悪化につながります。タイムラグが発生しやすいことから、トラブルが起きた際もリアルタイムに報告できず、復旧に時間がかかってしまうことも考えられます。このように、現場作業における紙媒体での管理は非効率といわざるを得ないのです。

作業品質が改善されない

次に、作業品質についてです。手順書は随時更新されていきますが、紙で管理しているとどれが最新のものなのかわかりづらく、誤って古い手順書を参照してしまうリスクがあります。現場での作業者のスキルセットもばらつきが否めません。また、作業手順が現場任せとなり、本部による作業の正確性のチェックが手薄になる可能性もあります。さらに、紙ベースでのオペレーションは即時性に欠け、作業の確認にいちいち時間がかかることも想定されます。

製造現場において、品質管理は非常に重要な位置づけですが、このように品質改善が行われないと取引先からの信頼も失いかねません。

急なトラブル対応に不安がある

現場にいる人しか現状を確認できない場合、専門知識をもった人や熟練スタッフがいなければ、トラブル対応にも時間がかかってしまうでしょう。何らかのトラブルに見舞われ、画像や映像などを通して現場の状況を本部へ正確に伝え、解決策の指示を仰ぎたいこともあります。しかし、それが叶わないと本部側の対応に遅れが生じたり、ミスによって手戻りが発生したりするかもしれません。このようなイレギュラー時こそ、現場への作業支援が必要とされます。

書類の紛失によるリスク

企業は作業報告書のように、厳格に管理すべき重要な情報をもっていますが、それらが書類でしか管理されていなければどうなるでしょうか。検査結果を改ざんされたり、不正な手順で検査されたり、データ分析や改善が困難になったりする可能性があります。

重要な情報が漏洩したり、不正利用されるリスクを抱えるということは、企業の信頼問題にも発展しかねません。したがってセキュリティの観点からも、情報管理のデジタル化を進めることが求められているのです。

業務が明確化されていない

従業員が遂行すべき業務が明確化されておらず、各作業レベルでの所要時間が不明な状態であることも、よく見られる課題です。課題の洗い出しが徹底されていないと、現場の従業員は何をしなければならないのかがわからず、作業効率を損ねるおそれがあります。目的や業務プロセスがぼんやりしたものとなり、データ分析やデータ活用による改善も難しくなってしまうでしょう。

作業支援の導入のポイント

前述した課題はどれもありがちなものですが、そのほとんどはデジタルを活用した作業支援の導入によって解決できます。ただ、それらを現場で使ってもらうためには、「わかりやすさ」や「使いやすさ」といったユーザビリティに配慮されていることが大切です。また、さまざまな現場に適した端末で利用できることなども望まれる条件となります。

具体的にはマルチデバイス対応かどうか、さらには電波状況の悪い現場での作業も考慮し、オフラインでも作業が可能かどうかも考慮に入れたうえで、導入ツールの選定を行う必要があるでしょう。

ペーパーレス・自動化による業務の効率化

特に紙を使った手順書などを普段からよく使う現場では、ペーパーレスによる業務効率化の効果が反映されやすくなります。

具体的には、現地から常に最新の手順書を入手できるメリットが挙げられます。また、プログラミングスキルが特になくても簡単にデジタル版の作業手順書に入力したり、チェックリストを作成したりできる利点もあります。

さらに、ワークフローの自動化による効果も期待できます。たとえば、作業手順書とチェックリストを更新・作成した段階で、作業従事者へ自動通知される仕組みを構築すると、最新版を作成する都度通知する手間が省け、さらなる作業効率化が図れるでしょう。

このように、ペーパーレス・自動化の取り組みにより、印刷などの紙媒体での負担になりがちな作業を効率化しつつ、日々の作業品質や作業精度、利便性などの向上が実現できるようになります。

作業内容の正確な把握

デジタルでの作業支援により、従業員が作業した内容を正しく把握することも可能になるでしょう。具体的には、作業完了後の報告を電子化することで、ほぼリアルタイムに正確な報告内容を担保できます。従業員は紙とペンで作業完了書を書く必要がないうえ、あらかじめ報告書のテンプレートを作成しておけば業務効率が向上し、従業員の負担も軽くなります。

作業者や作業時間、抜け漏れなく作業が行われたことを簡単にチェックでき、承認などの履歴も残せるので便利です。デジタル化により紛失などのリスクに備えられ、またデータが蓄積されていくことで業務改善につなげやすいのもポイントといえます。

現場作業の直接的な支援に役立つ機能

最後は、現場作業を直接サポートする役割です。作業報告を受ける際や、現場からの問い合わせに対応する際、作業支援がデジタル化されていれば、写真などをリアルタイムで確認しながら指示できるようになります。そのため、通常は経験年数の差で作業品質にばらつきが生じてしまいがちですが、熟練工不足の問題解決にも寄与できるというメリットがあります。

さらに、近年話題になっているスマートグラスを活用したリモートによる支援体制も、デジタルによる作業支援の形といえるでしょう。まだ経験年数が浅い新しいメンバーも、遠隔からの見守りや指示が受けられれば精神的な安心感につながるため、離職率の低下にも貢献できるはずです。

作業支援におけるデジタル化の手順

では、実際にデジタル化ひいてはDX化を進める場合、どのようなステップで行っていけばよいのでしょうか。以下では、その具体的な手順についてご紹介します。

1.現場の現状を把握し、導入イメージを共有する

まず現場における現状と課題をしっかり把握し、「何を解決したいのか」という目的をはっきりとさせることからスタートします。そして実現させたい姿をイメージし、メンバーと共有することが大切です。

これまでアナログで行ってきた作業をデジタルに移すことは、大きなチャレンジです。それゆえ経営層と現場の従業員の意識がバラバラだと、統制が取れず非効率になってしまいかねません。経営層をはじめとしたメンバー全員が同じ目的意識のもと、一丸となって取り組むことが重要です。

2.実現のためにアクションの優先順位を決める

現場における現状把握ができたら、次は課題解決のためにどういったアクションを打っていくのか、プライオリティ(優先順位)を付けていきます。その際、多くの業務を一気に整理することは難しいため、全体の業務フローを俯瞰的に見て大きなグループを作成し、その中で優先順位を付けていくことをおすすめします。

実現したい姿がイメージできるかどうか、アクションを起こした際に業務や関係者へどの程度影響が及ぶのか、コストの負担はどの程度想定されるかなど、多角的な観点から判断することで、より確かな優先順位を決められるでしょう。

3.現場に近い業務をデジタル化する

前述した優先順位を付ける際、現場に近い業務を起点として、デジタル化を進めることが多くあります。というのも、現場に近い細かな業務であればデジタル化による影響があまり大きくなく、万一うまくいかなかったとしてもリカバリーしやすいからです。また、社内から大きな反対意見が出ることも少ないと考えられます。

たとえば、すでによく取り組まれる事例の多いペーパーレス化や、働き方改革にもつながるオンラインでのリモート会議体制などがよい例でしょう。このように、最終的には全社一丸となって取り組むべきことでも、最初はスモールスタートを意識し、様子を見ながら少しずつデジタル化の範囲を広めていくことがポイントです。

4.組織全体のワークフローをデジタル化する

現場での個々の業務をデジタル化できれば、次は組織全体のワークフロー、つまり業務の一連の流れを見直しデジタル化していく段階になります。ワークフローの改善は、会社の事業全体の推進にも直接つながる重要な要素です。そのため、うまくデジタルに移行できれば業務効率や生産性のアップが期待できます。

たとえば、テレワークの従業員の勤怠登録において、出退勤を上司にメールで連絡してからさらにシステムへ登録する、という二度手間な作業が発生していたとしましょう。そこでRPAなどの技術を活用し、システムに登録するだけで上司へ自動的に通知がいく仕組みを導入すれば、従業員は二度手間の作業から解放され、上司もシステム登録されたかどうかのチェックをせずに済む、というメリットが生まれます。

そのほか、決裁承認のフローや交通費精算をはじめとする経理フローなど、デジタル化によって改善できる作業は多いと考えられます。

5.定期的に PDCA サイクルを回す

新しいデジタル技術は次々と誕生し、社会情勢や消費者の意識も変化し続けているため、それに合わせて企業自体も変革していくことが求められます。デジタル技術を導入しただけで満足するのではなく、定期的に自社の運用を見直す機会を設け、さらに改善できることはないか確認することが重要です。

デジタル化やDX化の取り組みは、一度やれば終わりというものではありません。PDCA(計画・実行・評価・改善)のサイクルを回し、継続的に改善を続けることで、市場における優位性の確保につながるのです。

作業支援の活用事例

ここからは、作業支援の導入によって成功を収めた企業事例を4つご紹介します。

工場でのITツールやIoTなどの活用事例

冒頭でも少し触れたように、現在はスマート工場化を目指す企業が増えています。ある工場ではITシステムを導入し、データ活用に取り組むことによって、社内情報の一元化を実現しました。これにより、必要な情報を必要なときに確認したり活用したりできる環境が整えられたのです。

また、分散している複数のシステムを連携したことで、データ入力にかかる手間を減らし、月あたり0.5人相当の人的コストの削減にも成功。受注や指示書・納品書の発行、請求処理など、それまで人の手で行っていた一連の作業フローも自動化し、それらに費やしていた作業時間を月80時間も削減するという大きな成果を上げています。

製造業での活用事例

経済産業省が2021年5月に公表した「2021年版 ものづくり白書」では、製造業における深刻な労働者不足から、DXの取り組みを深化させていくことが重要と提起されています。STEAM教育による人材育成や現場での無線通信技術の活用などを通じて、デジタル化ひいてはDX化を図っていく必要性が説かれているのです。

そして将来的に、中核的な作業が機械やデジタル技術に代替された場合には、実に7割以上の企業が、作業担当者に「デジタル技術を活かすための能力を身につける」ことを求めている実態も明らかになっています。
参照元:https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2021/pdf/gaiyo.pdf P31

そのような背景の中、ある企業では映像を使って熟練者が作業内容を共有し、スピーディーかつ効率的な情報共有を実践しています。作業支援システムの導入により、遠隔地にある設計部門から生産部門へ映像を流し、より具体的に指示を出すことが可能になりました。複雑な生産工程でも、効率的に作業支援体制が実現できることを示した好例といえるでしょう。

電気通信会社での活用事例

ある電気通信会社では、作業員が現場へ出動する際の負担や、作業品質のばらつきといった課題を抱えていました。そこで、現場映像をリアルタイムで共有できるシステムを導入し、遠隔地にある本部から指示を受けて作業できる体制を整えたところ、キャリアやスキルを問わず現場での作業品質を一定水準に保てるようになりました。また、わざわざ熟練者が現場に行かなくてもよくなったことで、コスト削減や業務効率化にもつながっています。

衣料の製造現場による活用事例

ある衣料縫製を扱う工場では、かねてから付加価値のある商品開発に力を入れていましたが、一方で従業員の作業スピードのムラや人手不足といった課題も抱えていました。

そこで採用したのが、タブレットによるペーパーレス化です。たとえば、従来では1時間あたりの作業枚数を数取器で数え、終業時に口頭報告していたために作業工程管理がバラバラになっていました。しかし、タブレットでのデジタル管理を導入したことで、作業者も管理者も正確かつリアルタイムに状況把握できるようになったのです。

スモールスタートで仕様書を扱う工程から始め、年配の従業員にも自然と受け入れられるようになった今では、生産管理工程もペーパーレス化を実現できているとのことです。デジタル化で業務効率をアップさせ、生産性も上がった成功例です。

まとめ

作業現場は作業品質のムラや人手不足など、さまざまな課題を抱えており、それらを解決する糸口となるのがデジタル化による作業支援です。作業支援を取り入れる場合は、スモールスタートを意識し、現場に近い業務からペーパーレス化や自動化などを図るのがおすすめです。社内でのコンセンサスも得やすくなり、ゆくゆくは全社一体となってDX化を実現できるでしょう。

CTCには作業現場のデジタル化に役立つソリューションが用意されています。デジタル化による作業支援の導入を検討されている方は、ぜひご活用ください。

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